2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26247030
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Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
中川 貴雄 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 教授 (20202210)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
猿楽 祐樹 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 研究員 (10512147)
小林 尚人 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (50280566)
和田 武彦 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 助教 (50312202)
片坐 宏一 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 准教授 (70242097)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 活動的銀河核 / 分子トーラス / 赤外線分光 / 振動回転遷移 / イマージョングレーティング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、「近傍銀河のCO吸収線サーベイ観測」と「遠方銀河観測を目指した分光器の基礎開発」の2つの柱から構成される。 本研究の第一の柱である「近傍銀河のCO吸収線サーベイ観測」については、平成26年度は、赤外線天文衛星「あかり」による特定の天体の観測を詳細に解析し、今後のサーベイ観測解析方法の基礎を築いた。「あかり」の分光分解能では、振動回転遷移の中の個別の回転遷移は区別することができない。したがって、多くの回転遷移を集まりとして観測し、この「集まり」の形から、ガスの温度・量を見積もることとなる。したがって、波長特性の較正精度が大変に重要となる。平成26年度には、この点について、今まで見過ごされていたグリズムの波長特性の詳細を調べ、グリズム2次光の影響を明らかにした。この知見を用いて較正を再度行い、従来よりも信頼のおける波長領域を長波長に拡大し、CO吸収線観測結果の解析の信頼度を飛躍的にあげることができた。これらを通して、平成26年度に、COサーベイ観測のための基礎手法・校正方法を確立した。 研究の第二の柱である「遠方銀河観測を目指した分光器の基礎開発」については、平成26年度には、イマージョン・グレーティング素子そのものを製作し、常温での性能評価を開始した。まず、製作素子の設計を行ない、それに基づいて、CdZnTeグレーティングを製作した。また、グレーティング面に反射用のアルミ蒸着、入射面に所定の反射防止コーティングを施工することができたことを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の第一の柱である「近傍銀河のCO吸収線サーベイ観測」については、上記のようにグリズム2次光の影響を含めた新しい較正方法を確立した。これにより、「あかり」搭載分光器を用いたCO吸収線サーベイの結果の信頼性を飛躍的に向上させることができた。これは、当初は期待されていなかった効果を明らかにしたものであり、当初の計画以上に進展した成果といえる。この結果は、現在論文として発表すべく、とりまとめ中である。 一方、第二の柱である「遠方銀河観測を目指した分光器の基礎開発」については、素子の製作に予定よりも時間を要したため、当初平成26年度の終了を予定していた常温での性能評価の一部が未了となった。ただし、これについては平成27年度に行う予定であり、全体の研究計画としては遅れを生じない予定である。 このように、全体としては、おおむね当初の予定通り順調に研究が進行したと判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、平成26年度の成果に基づき、以下のように研究を進める予定である。 本研究の第一の柱である「近傍銀河のCO吸収線サーベイ観測」については、新しく得られた較正結果を用いて、観測サンプルを増やす解析を行う。この際に、従来解析を行ってきた Phases 1, 2 (液体ヘリウム冷却期間)に加えて、Phase 3(機械式冷凍機冷却期間)のデータを用いる。ただし、Phase 3の期間は、観測装置の温度がPhase 1, 2のときから上昇し、光学系の特性が変化している可能性があるため、Phase 3 用のの較正を別途行う必要がある。この補正を踏まえ、多くの天体について、CO近赤外線バンドプロファイルを再解析する。特に、モデルフィッティングにより、分子ガスの柱密度、温度、ダスト昇華層と分子ガスの位置関係を議論する。これらの解析の後、必要に応じて地上観測によりフォローアップ観測を行う。 第二の柱である「遠方銀河観測を目指した分光器の基礎開発」については、まずは常温での評価を進め、設計通りの性能が得られていることを確かめる。それが確かめられた後、低温での評価試験の準備を進め、極低温での性能評価を行う。これにより、素子単独のレベルとして、イマージョングレーティングの成立性を実証する。
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Research Products
(17 results)
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[Journal Article] Near-infrared Diffuse Interstellar Bands in 0.91-1.32 μm2015
Author(s)
Hamano, S., Kobayashi, N., Kondo, S., Ikeda, Y., Nakanishi, K., Yasui, C., Mizumoto, M., Matsunaga, N., Fukue, K., Mito, H., Yamamoto, R., Izumi, N., Nakaoka, T., Kawanishi, T., Kitano, A., Otsubo, S., Kinoshita, M., Kobayashi, H., & Kawakita, H.
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Journal Title
The Astrophysical Journal
Volume: 800
Pages: 137: 1-17
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Kinematics of Classical Cepheids in the Nuclear Stellar Disk2015
Author(s)
Matsunaga, N., Fukue, K., Yamamoto, R., Kobayashi, N., Inno, L., Genovali, K., Bono, G., Baba, J., Fujii, M. S., Kondo, S., Ikeda, Y., Hamano, S., Nishiyama, S., Nagata, T., Aoki, W., & Tsujimoto, T.
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Journal Title
The Astrophysical Journal
Volume: 799
Pages: 46: 1-9
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Rest-Frame optical spectra and black hole masses of 3<z<6 Quasars2015
Author(s)
Jun, H.D., Im, M, Lee, H.M., Ohyama, Y., Woo, J.H., Fa, X., Goto, T. Kim D., Kim, J.H., Kim, M., Lee, M.G., Nakagawa, T., Pearson, C., Serjeant, S.
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Journal Title
The Astrophysical Journal
Volume: 印刷中
Pages: 印刷中
Peer Reviewed
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[Journal Article] Calibration of the AKARI Far-infrared All Sky Survey Maps2015
Author(s)
Takita, Satoshi; Doi, Yasuo; Ootsubo, Takafumi; Arimatsu, Ko; Ikeda, Norio; Kawada, Mitsunobu; Kitamura, Yoshimi; Matsuura, Shuji; Nakagawa, Takao; Hattori, Makoto; Morishima, Takahiro; Tanaka, Masahiro; Komugi, Shinya
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Journal Title
Publications of Astronomical Society of Japan
Volume: 印刷中
Pages: 印刷中
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
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[Journal Article] The AKARI Far-Infrared All-Sky Maps2015
Author(s)
Doi, Yasuo; Takita, Satoshi; Ootsubo, Takafumi; Arimatsu, Ko; Tanaka, Masahiro; Kitamura, Yoshimi; Kawada, Mitsunobu; Matsuura, Shuji; Nakagawa, Takao; Morishima, Takahiro; Hattori, Makoto; Komugi, Shinya; White, Glenn J.; Ikeda, Norio; Kato, Daisuke; Chinone, Yuji; Etxaluze, Mireya; Figueredo, Elysandra
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Journal Title
Publications of Astronomical Society of Japan
Volume: 印刷中
Pages: 印刷中
Peer Reviewed
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[Journal Article] Thermal study of payload module for the next-generation infrared space telescope SPICA in risk mitigation phase2014
Author(s)
Keisuke Shinozaki, Yoichi Sato, Kenichiro Sawada, Makiko Ando, Hiroyuki Sugita, Toshihiro Yamawaki, Tadahiro Mizutani, Keiji Komatsu, Takao Nakagawa, Hiroshi Murakami, Hideo Matsuhara, Makoto Takada, Shigeki Takai, Akinobu Okabayashi, Shoji Tsunematsu, Kenichi Kanao, Katsuhiro Narasaki
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Journal Title
Cryogenics
Volume: Vol. 64
Pages: 228-234
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] The AKARI 2.5-5.0 micrometer Spectral Atlas of Type-1 Active Galactic Nuclei: Black Hole Mass Estimator, Line Ratio, and Hot Dust Temperature2014
Author(s)
Kim, D., Im, M., Kim, J.H., Jun, H.D., Woo, J.H., Lee, H.M., Lee, M.G., Nakagawa, T., Matsuhara, H., Wada, T., Oyabu, S., Takagi, T. Ohyama, Y. Lee, S.K.
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Journal Title
The Astrophysical Journal Supplement
Volume: 216
Pages: 17: 1-36
DOI
Peer Reviewed
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