2016 Fiscal Year Annual Research Report
NADWの初期発達史:太平洋流入仮説の提唱から検証まで
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26247086
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
長谷川 卓 金沢大学, 自然システム学系, 教授 (50272943)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木元 克典 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境観測研究開発センター, 主任技術研究員 (40359162)
堀川 恵司 富山大学, 大学院理工学研究部(理学), 准教授 (40467858)
山本 正伸 北海道大学, 地球環境科学研究院, 准教授 (60332475)
守屋 和佳 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 准教授 (60447662)
岡 顕 東京大学, 大気海洋研究所, 准教授 (70396943)
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Project Period (FY) |
2014-06-27 – 2018-03-31
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Keywords | 古海洋 / 硫黄同位体比 / 始新世 / IODP |
Outline of Annual Research Achievements |
国際深海掘削計画(ODP)で採取された赤道大西洋試料および南大西洋(207次,208次航海)および統合国際深海掘削計画(IODP)で採取された赤道太平洋(320/321次航海)を中心に,積極的に分析を進めた.炭酸塩構造置換硫酸塩(CAS)の抽出はプロトコルが完成し,ルーチンワークとして行えるようになった.その結果,ターゲットとしていた層位範囲から議論が可能な程度の硫酸塩硫黄同位体比データを蓄積することができた.遠洋性重晶石(バライト)を用いた既存の研究報告と比較した結果,50-45Maの範囲では従来研究よりも漸進的に(ゆっくりと)硫黄同位体比が正方向にシフトしていく状況が確認された.また続成の影響の少ないと考えられる45Ma以降の時代は,従来のバライトを用いて得られた硫黄同位体比変動曲線とほぼ一致していた.この成果は新規性が高い.南大西洋の試料について遠洋性バライトとCASを同一の試料から抽出を試みたが,困難であった.そこで赤道域の生産性の高い範囲に焦点を絞り,さらにIODP試料をリクエストの上,新しい赤道太平洋の試料から抽出を試みた結果,複数試料からバライトとCASの両方を得ることに成功した.両方の硫黄同位体比を比較した結果,当初の予想とは異なり,バライトの方が低い硫黄同位体比を持つ場合が多いことが確認された.このことについては今後さらにデータを得ることによって,本研究で得たバライトの硫黄同位体比が従来研究と比較して有意に低いのかどうかを見極めていく必要がある.本成果を含め,富山大の堀川氏と共同で北陸古海洋研究会を開催した(本年度は富山大学で開催).産総研,九州大学などから関連研究を進める研究者が終結して盛んな議論を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度までの度重なる機器の故障,および予想していたよりもバライトの抽出が困難であることにより,当初の予定よりも研究の進行は遅れている.今年度の成果によってどのような議論が展開できるのかが見えてきた.また今後の研究の進め方についても明瞭になってきた.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,IODP試料のさらなるリクエストを行い,分析を精力的にこなすことによりデータを増やし,今年度確認できたバライトとCASの値の1‰程度のずれが何を意味するのかを明らかにしていく.そのために数が限られるかもしれないが,バライトとCASの両方を同一の試料から得ることに注力していく.今年度得られた成果については論文化を進める.年度末前には「中締め」的な会議を行い,研究の総括の方向性について議論をする.
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Research Products
(12 results)
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[Journal Article] Characterization ascertained from d13C and D14C of particulate organic matter in surface water from a shallow and semi-closed Lake Kiba.2017
Author(s)
Hong, T. B, Nagao, S., Ochiai, S., Fukushi, K., Goto, A., and Hasegawa, T.
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Journal Title
Journal of Nuclear and Radiochemical Sciences
Volume: 17
Pages: in press
Peer Reviewed
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[Journal Article] Individual migration pathways of modern planktic foraminifers: Chamber-by-chamber assessment of stable isotopes2016
Author(s)
Takagi, H., Moriya, K., Ishimura, T., Suzuki, A., Kawahata, H., and Hirano, H.
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Journal Title
Paleontological Research
Volume: 20
Pages: 268-284
DOI
Peer Reviewed
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