2014 Fiscal Year Annual Research Report
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26247087
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
平賀 岳彦 東京大学, 地震研究所, 准教授 (10444077)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 斜長石 / 超塑性 / オリビン |
Outline of Annual Research Achievements |
「超塑性」流動下の微細構造形成メカニズムを明らかにし、その結果生じる「超塑性」に特徴的な地球物理学的可観測量(粘性・弾性・電気伝導度)を実験的に示すことで、「超塑性」に基づく新たな地球内部ダイナミックスを構築するのが本研究目的である。 フォルステライト試料(Mg2SiO4)にFe成分を添加し、天然オリビン組成に近づけた。また、Fe入りオリビンが安定になる還元雰囲気で行えるシステムを構築した。本試料を用いるクリープ実験中の還元雰囲気を作るために、変形試験機に組み込まれる既存の高温炉の発熱部にアルミナ管を通し、その管内を雰囲気制御できるものを設計・製作した。本システムをもちいて、天然試料に存在し、かつ粘性を大きく下げると予想する不純物元素(候補はK, Na, Clなど)を実験試料に添加して、そのクリープ強度を測定できるようにした。 クリープ実験と同時に電気伝導度および弾性波速度を測定するオールアットワンス実験を行うシステムを作った。これより、試料や実験環境変化からくる粘性率、弾性率および電気伝導度の測定値間の不確かさが排除され、地球物理学的観測量であるそれら3つの完全な対比が可能になると予想される。 斜長石多結晶体における超塑性の詳細が調べられ、応力指数にして~1と拡散駆動型のクリープであることが判明した。また、マーカー法による変形後のマーカー変形の観察をおこなったところ、変形はほぼすべて粒界すべりで賄われていることが分かった。現在、その結果を公表論文としてまとめている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
斜長石多結晶体のクリープ特性の研究は、予定通り研究が進み、論文化できるところまで達成した。酸素分圧制御下でのクリープ実験を可能にする実験システムの構築も行えた。また、変形実験下での電気伝導度同時測定も可能になりつつある。弾性波速度測定に関しては、弾性波の減衰が大きく、今後の克服課題として残った。
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Strategy for Future Research Activity |
斜長石多結晶体のクリープ特性の結果はすべてそろったので投稿論文としてまとめる。酸素分圧制御下でのクリープ実験は、今後、温度や応力制御の下、実験を遂行する。弾性波速度測定に関しては、試料に接するロッドの太さを細くするなどの改良を行う。
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Research Products
(1 results)