2014 Fiscal Year Annual Research Report
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26247095
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
日高 洋 広島大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (10208770)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米田 成一 独立行政法人国立科学博物館, 理工学研究部, 理化学グループ長 (60210788)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 希土類元素 / 同位体 / 質量分析 / 隕石 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では各種希土類元素の同位体組成ならびに核化学的特徴に着目して,(1)太陽系始原物質から太陽系物質を構成する元素の起源を探ること,(2)太陽系内惑星初期分化物質から初期分化に伴う物質移動を読み取ること,(3)惑星の初期分化過程(2)がいつ生じたかについて時間軸を設定すること,を目的とし,まず,単核種元素,およびEu, Luを除く8種の希土類元素を効率よく迅速に化学分離する手法の開発に取り組んだ。 0.15~1.0 M 塩酸を溶離液としたLNレジンを用いることでLa, Ce, Nd, Sm, Gd, Dy, Er, Ybの分離手法を開発した。 さらに,同手法を分化した隕石である8種類のユークライトに応用し,各隕石試料の希土類元素相互分離をおこなった。引き続いて分離試料の同位体測定を進行中であるが、現段階において(1)Ce同位体測定から138La-138Ce壊変系に基づく太陽系初期の年代学データ,(2)Nd同位体測定から147Sm-143Nd壊変系および146Sm-142Nd壊変系に基づく年代学データ,(3)SmおよびGd同位体測定から宇宙線照射の影響による中性子捕獲反応に基づく149Sm-150Smおよび157Gd-158Gdの同位体シフト,を顕著にとらえることができた。これらの同位体データをシステマティックに解釈することにより,個々の惑星物質が置かれてきた太陽系内の環境,惑星の進化過程に新しい解釈を付け加えることが期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高精度同位体分析のために必須である希土類元素の相互分離手法、および質量分析による高精度同位体測定法、について確立することができ、本研究の基礎的検討はすべて終了した。今後は各種隕石試料や月表層試料について同手法を適用することで、迅速に実測データを取得していく予定である。なお、本研究で用いる惑星物質試料は世界中の関連研究施設を通してすでに入手ずみである。以上より、おおむね順調に研究が進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
特殊化学樹脂(LNレジン)を用いて希土類元素を迅速かつ効率よく分離する化学的手法が確立できたたため、同手法を各種惑星物質試料に適用し、試料中のLa, Ce, Nd, Sm, Gd, Dy, Er, Yb, Luについて質量分析による精密同位体測定を試みる。 昨年度は同化学分離手法を太陽系内で初期分化した隕石の一種であるユークライトに適用し,その一連の同位体測定を実施した。同位体測定は現在も進行中であるが,今後,ユークライトに引き続いて,同じく初期分化した隕石であるダイオジェナイトや月表層物質について同様なアプローチをしていく予定である。
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