2016 Fiscal Year Annual Research Report
相対論領域におけるクラスター媒質中での相乗的イオン加速機構の解明
Project/Area Number |
26247100
|
Research Institution | National Institutes for Quantum and Radiological Science and Technology |
Principal Investigator |
福田 祐仁 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 関西光科学研究所 光量子科学研究部, 上席研究員(定常) (30311327)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
榊 泰直 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 関西光科学研究所 光量子科学研究部, 上席研究員(定常) (00354746)
神野 智史 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (80596924)
金崎 真聡 神戸大学, 海事科学研究科, 助教 (90767336)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 高強度レーザー / 粒子加速 / 陽子線 / クラスター / 相対論プラズマ / 高エネルギー密度 / Mie散乱 / 放射減衰 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、(1)プラズマ中の電場・磁場計測装置の開発、(2)プラズマ中の衝撃波可視化装置の開発、(3)電子のベータトロン運動に伴うX線検出装置の開発、の3つの基盤技術開発を行い、(4)これら装置を用いたイオン加速実験と(5)理論・シミュレーション研究、とを効果的に融合させ研究を進める。
平成28年度は、仏国エコールポリテクニークのLULI2000レーザー装置を用いた実験を実施し、クラスターターゲットにレーザー照射したプラズマに対するトムソン散乱スペクトルを測定し、プラズマの電子温度、および、イオン温度の計測に成功した。新たな試みとして、波面センサーを用いた高感度型磁場可視化システム開発の可能性について検討を行い、これが可能であることを示すシミュレーション結果を得た。また、我々が開発したリアルタイム型トムソンパラボライオンエネルギー分析装置の高度化を実施し、実験中にオンラインでイオン種・イオンエネルギーに関する情報を表示できるよう、プログラムの改良を行った。衝撃波可視化装置については、装置の微小振動を押さえるための改良を実施し、これまで困難であった水素ガスのレーザー干渉画像の取得に成功した。さらに、固体飛跡検出器CR-39のスタックを用い、100メガ電子ボルト(MeV)を超える陽子線のエネルギー分布を精密に計測する検出器システムの設計を行った。理論・シミュレーション研究では、新たに位相図を用いた解析により、レーザー照射された水素クラスターの内部に無衝突衝撃波が伝播し、この衝撃波による加速によって、200 MeVを超える準単色陽子線が発生することを明らかにした。
これら研究により、研究目的である、100 MeVを超える準単色イオンを安定発生させるための条件については、これを見いだすことに成功した、と言える。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた量研関西研の1ペタワット(PW)級J-KAREN-Pレーザー装置を用いた、水素クラスターターゲットによるイオン加速の予備実験、および、改良を施した計測装置類の動作試験については、レーザー装置の結晶にダメージが入り、修復作業に時間を要したため、これを実施する事が出来なかった。また、シミュレーション研究においては、当初予定していたマルチクラスターの系へ拡張したシミュレーションを実施するところに到達出来なかったが、これを行うための計算機環境の準備に取りかかる段階にまで到達した。
実験研究において、仏国での共同実験におけるレーザー照射クラスターターゲットからのトムソン散乱スペクトル測定の成功、波面センサーを用いた新たな高感度型磁場可視化システム開発等、当初計画にはなかった重要な成果を得ることが出来た。また、シミュレーション研究においても、レーザー照射されたクラスターのクーロン爆発によって加速されたイオンが背景ガスイオンと接触する境界領域において、Bernstein-Greene-Kruskal(BGK)平衡に基づく安定な運動論的ソリトン波が生成し、このソリトン波によって背景ガスイオンが加速されることを初めて見いだすなど、当初計画にはなかった重要な成果を得ることが出来た。BGK平衡に基づくソリトン波は、人工衛星による観測で、宇宙プラズマ中にその存在が確認さている。この成果は、本研究によって見いだされたイオン加速手法が宇宙プラズマ現象を模擬しうることを具体的に示した重要な成果である、と言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
H28年度までの研究により、研究目的である「100メガ電子ボルト(MeV)を超える準単色イオンを安定発生させるための条件」、については、これを見いだすことに成功し、あとは実験による検証を待つのみである、と言う状態に到達した。
最終年度のH29年度は、研究目標である「100メガ電子ボルト(MeV)を超える準単色イオンを安定発生させる手法の確立」のための実験を実施する。前半は、J-KAREN-Pレーザー装置の改造が予定されているため、実験を実施することが出来ないが、この期間に、実験準備を進め、年度後半での実験に備える。同時に、バックアップ案として、他研究機関のレーザー装置を用いた実験実施の可能性についても探る。シミュレーション研究においては、実験に近いマルチクラスター系で計算を実施し、ミクロな衝撃波構造が重なり合うことで、マクロな衝撃波へと成長するかどうか、という点に着目した研究を進める。
上記以外に、仏国エコールポリテクニークとの共同研究では、高密度ガスジェットを用いた無衝突衝撃波イオン加速実験、台湾国立中央大学とのとの共同研究では、固体薄膜ターゲットを用いた無衝突衝撃波イオン加速実験、をそれぞれ実施することを計画している。これら実験は、いずれも、研究目標である「100メガ電子ボルト(MeV)を超える準単色イオンを安定発生させる手法の確立」に寄与する知見を得ることの出来るものである。
|
-
-
-
-
-
-
-
[Journal Article] X-ray spectral diagnostics of laser harmonic generation in the interaction of relativistic femtosecond laser pulses with clusters2016
Author(s)
A.Ya. Faenov, E. Oks, E. Dalimier, I.Yu. Skobelev, S.А. Pikuz, T.A. Pikuz, I.А. Zhvaniya, Y. Fukuda, A. Andreev, J. Koga, H. Sakaki, H. Kotaki, A. Pirozhkov, Y. Hayashi, T. Kawachi, M. Kando, K. Kondo, A. Zhidkov, R. Kodama
-
Journal Title
Quantum Electronics
Volume: 46
Pages: 338-341
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
[Presentation] Micron-size hydrogen cluster targets for over 100 MeV, high-repetitive, impurity-free proton beams via relativistic laser-plasma interactions2016
Author(s)
Y. Fukuda, S. Jinno, M. Kanasaki, H. Tanaka, H. Sakaki, K. Kondo, R. Matsui, Y. Kishimoto
Organizer
International Symposium on Ultrafast Intense Laser Science 15
Place of Presentation
Cassis, France
Year and Date
2016-10-02 – 2016-10-06
Int'l Joint Research
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-