2015 Fiscal Year Annual Research Report
6-7族金属の多様性を活かした革新的な合成反応の開発
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26248030
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
高井 和彦 岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (00144329)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村井 征史 岡山大学, 自然科学研究科, 助教 (40647070)
浅子 壮美 岡山大学, 自然科学研究科, 助教 (80737289)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 有機合成反応 / レニウム / モリブデン / anti-Markovnikov付加 / 脱酸素 / ヒドロシリル化 / C-H結合活性化 |
Outline of Annual Research Achievements |
7族のレニウム、6族のモリブデンを用いる新反応をいくつか見いだすことができた。それら新反応を、(1) 従来研究の延長にある研究成果(a)、(2)新しく発見したレニウムあるいはモリブデンの特性に由来する研究成果((b)~(d))、の二つに分ける。 (a) ホウ素-水素結合を金属触媒で活性化し、そのホウ素をLewis酸-塩基相互作用でピリジン窒素に近づけ、近傍にくるC(sp2)-H結合を活性化する反応をこれまで報告していた。今回新たに、C(sp3)-H結合を活性化する手法を開発した。C(sp2)-H結合ではパラジウム触媒が有効であったが、今回のC(sp3)-H結合ではレニウム錯体[ReBr(CO)3(thf)]2が適していることを見いだした。 (b) (i)エポキシドを立体特異的に脱酸素するには、これまで主としてSharplessの低原子価タングステンを用いる手法が使われてきた。本研究で、触媒量のレニウムと脱酸素剤としてP(OPh)3の組合せを用いると、立体配置が保持されたまま脱酸素反応が進行することを見いだした。 (ii)6族のモリブデンの錯体を用いても同様の脱酸素反応が進行するが、脱酸素剤であるリンの種類を変えることにより、立体保持、立体反転を制御できることを見いだした。 (c) レニウム触媒を用いると、炭素求核剤の末端アルキンへのanti-Markovnikov付加が進行する反応をさらに検討し、アミンの添加が重要であることを見いだした。 (d) モリブデン錯体を用いると末端アレンの位置選択的なヒドロシリル化反応がおこなえ、(Z)体のアリルシランが選択的に生成することを見いだした。さらにこの反応において選択性が生じるメカニズムをDFT計算により明らかにした。 これらの結果は論文や日本化学会第96春季年会で口頭発表として報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
7族金属であるレニウム錯体を用いる新しい触媒反応の研究がOrg. Lett.、Chem. Commun.に掲載されるなど、見いだした新反応を論文として次々と報告することができた。さらに、モリブデン錯体を用いる新しい触媒反応について、投稿することができた(1報は印刷中)。さらなる今後の展開が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
2015年1月にJ. Am. Chem. Soc.に報告したレニウムを用いる反応を丁寧に検討したところ、添加物を加えると、反応の基質適用範囲を大きく拡げられることを見いだした。日本化学会第96春季年会で報告したが、重要な知見なのでこの研究を積極的に進める。さらに、レニウムやモリブデン錯体を用いる新たな反応の開発や、有機クロム反応活性種の単離と利用、などの研究を並行して進める。
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Research Products
(10 results)