2016 Fiscal Year Annual Research Report
可逆活性種変換を伴う新規ビニルモノマー共重合系の開発
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26248032
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| Research Institution | Nagoya University |
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Principal Investigator |
佐藤 浩太郎 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (70377810)
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| Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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| Keywords | 高分子合成 / リビング重合 / 活性種変換 / カチオン重合 / ラジカル重合 / アニオン重合 / ドーマント種 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
１本の高分子鎖を形成する重合の生長末端において、安定なドーマント種を導入し、解離後の炭素原子の電子状態を制御可能な複数の刺激を用いることで、活性種を自在かつ可逆的に変換するという新しい概念に基づく新規な共重合体の合成手法を開発・確立することを目的とする。具体的には、生長末端に従来のリビング重合同様のドーマント種を導入し、異なる複数の刺激で可逆的に活性化することで、同一のドーマント種から炭素カチオンやアニオン、ラジカルといった異種活性種へと反応系内で可逆的に変換させる全く新しいリビング重合系の開発を行った。これにより、従来の生長活性種による分類を超えた全く新しい高分子(共重合体)の開発が期待される。
とくに本年度は、昨年までに行ってきたルイス酸と光ラジカル発生剤を用いた炭素硫黄結合の光刺激による活性種のスイッチングを用いた重合系の確立と、それを用いた材料設計へと展開するとともに、炭素ハロゲン結合を用いたリビングラジカル重合とアニオン重合の変換において炭化水素系モノマーの重合に注力した。
具体的には、以下の点に注力して検討を行った。
１．炭素―硫黄結合の活性化による光可逆変換カチオン／ラジカル重合の確立 カチオン重合性モノマーとして種々のビニルエーテル、ラジカル重合性モノマーとして(メタ)アクリル酸エステルを用いた系において、官能基を有するモノマーへの反応系の適応範囲拡大を図った。
２．炭素―ハロゲン結合を用いた炭化水素系モノマーの活性種変換型アニオン／ラジカル／カチオン重合 工業的にも重要な炭化水素系モノマーを用いた重合系についてより詳細な検討を実施した。
３．生成ポリマー解析と反応解析 生成ポリマーを詳細に解析し、モノマーユニットの連鎖構造解析を行うとともに官能基の導入などを確認した。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
反応条件設定が予想よりも困難であったため、やや計画よりも遅れているが、順調に成果は得られてきている。特に以下の成果が得られてきている。
１．炭素―硫黄結合の活性化によるタンデム型カチオン／ラジカル重合系の開発 カチオン重合性モノマーとして種々のビニルエーテル、ラジカル重合性モノマーとして(メタ)アクリル酸エステルを用いた系において、官能基を有するモノマーへの反応系の適応範囲拡大を図った。これまでに見出した光刺激による活性種のスイッチングを利用し、ポリマー鎖に任意に官能基を導入できる可能性を見出した。また、昨年報告した炭素－硫黄結合を有するRAFT試薬存在下、超強酸によるリビングカチオン重合をさらに拡張し、通常のジチオエステル以外に種々の結合を用いることができる点について示した。
２．炭素―ハロゲン結合を用いた活性種変換型アニオン／ラジカル重合系の開発 昨年報告した工業的にも重要な炭化水素系モノマーを用いた重合系についてより詳細な検討を実施した。ドーマント種として炭素―ハロゲン結合を介し、リビングアニオン重合からラジカル重合、およびラジカル重合からアニオン重合へ可逆的なスチレンの変換的な活性種変換を明らかにした。
３．生成ポリマー解析と反応解析 上記の重合系について、生成ポリマーを詳細に解析し、モノマーユニットの連鎖構造解析を行うとともに官能基の導入などを確認し、タンデム型カチオン／ラジカル重合活性種変換共重合の有用性を明らかにした。
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| Strategy for Future Research Activity |
当該年度までに明らかにした「光刺激による活性種の可逆変換」についてその汎用性をさらに拡大することを優先して検討を行う。
とくに、本手法は高分子合成における未開拓の共重合体合成法として価値の高いものと考えられ、さらなる適応範囲の拡大を図る。ここで、官能基に対して耐性の低い活性種や触媒も存在するため研究を遂行する上で問題となり得る。そのような場合、保護基の利用や耐性のある触媒選定など、従来の有機合成における定石を基にして研究を推進し、本重合系のさらなる有用性を見極める。
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