2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26248033
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大北 英生 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50301239)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辨天 宏明 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60422995)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 結晶性共役高分子 / 励起子拡散 / ダイナミクス / 次元性 / フェルスター |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、1次元状フィブリル状結晶、2次元テラス状結晶、ならびに3次元微結晶分散系について、励起子拡散ダイナミクスの次元性を検討し、結晶形態と拡散ダイナミクスの関係性を次元性の観点から検討した。 1次元のフィブリル状結晶を示す結晶性共役高分子(RR-P3HT)については、過渡吸収測定による励起子拡散ダイナミクスの時間発展の解析を行った。その結果、励起子消滅速度γが時間tの平方根の逆数に比例して時間依存することを見出し、1次元拡散モデルにより説明できることを明らかにした。さらに、結晶化度の異なる試料についても同様の解析を行い、結晶化度と励起子拡散定数の関係についても探究を進めている。 2次元のテラス状結晶を示す結晶性共役高分子(pBTTT)については、2次元テラス状結晶の膜厚やドメインサイズ等を制御するために、製膜条件を詳細に検討した。その結果、基板の前処理条件によって製膜により得られる結晶形態が大きく変化することを見出した。基板の疎水処理を行うことで、より成長した2次元テラス状ドメインが得られることが分かった。 3次元状に微結晶が分散した膜形態を示す結晶性共役高分子(PSBTBT)については、RR-P3HTと同様の手法により励起子拡散ダイナミクスの時間発展を解析した。その結果、励起子消滅速度γが時間tの平方根の逆数に比例して時間依存することを見出した。この結果は、フェルスター型の3次元励起子消滅ダイナミクスにより定量的に説明できることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度は、励起子拡散ダイナミクスの異方性(次元性)の解明を目標としており、1次元状フィブリル状結晶と3次元微結晶分散系については、次元性を明らかにすることができた。2次元テラス状結晶についても製膜条件を見出したので、同様の手法により解析が行える道筋がついた。また、1次元状フィブリル状結晶については、平成27年度予定の結晶化度の違いについても検討をすでに開始しており、一部では予定を前倒しで行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的には、当初に策定した研究計画にしたがって研究を遂行していく予定である。一方で、研究の進捗に応じて、従来研究とのつながりから展開・発展が見込める課題については、年度計画にこだわらずに研究の先取り遂行を進め、柔軟に対応していく予定である。また、高結晶化度共役高分子結晶の作製など困難が見込まれる課題については、並行して課題抽出を進め、次年度以降の予備研究を開始する。
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Remarks |
京都大学が主催する国民との科学技術対話の場である「アカデミックディ」に出展し、本研究課題に関する研究成果についても発信した。 http://www.kura.kyoto-u.ac.jp/event/27
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