2014 Fiscal Year Annual Research Report
界面精密構造制御による高性能(高分子/天然無機ナノチューブ)複合材料の創成
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26248053
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
高原 淳 九州大学, 先導物質化学研究所, 教授 (20163305)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ハロイサイト / ナノコンポジット / 天然無機ナノチューブ / 界面構造制御 / 表面開始重合 / ハイブリッドハイドロゲル / 結晶化 / インテリジェントハイブリッド |
Outline of Annual Research Achievements |
1)ハロイサイトの原鉱石を精製しカルサイトや石英などの不純物を除去し、沈降法でストークス半径に基づくサイズ分別を行った。ハロイサイトを、走査電子顕微鏡(SEM)観察、SEM-EDXによる元素分析、赤外吸収(IR)スペクトル測定、透過電子顕微鏡(TEM)観察、広角X線回折に基づき同定した。 2)生分解性樹脂であるポリグリコール酸に天然の中空無機ナノチューブであるハロイサイトを添加した高分子/無機ナノチューブ複合材料の電界紡糸繊維を調製し、分子鎖・結晶の配向状態と配向繊維の力学物性を評価したところ、ハロイサイトの核剤作用によるPGA結晶化度の増大、ハロイサイトの繊維軸方向への配向に誘起されたPGA結晶配向が観測され、繊維の力学物性が向上することが明らかとなった。 3)ハロイサイト表面に表面開始重合開始骨格を導入し、制御ラジカル重合により双性高分子電解質であるポリスルホベタイン(PMAPS)をグラフト化した。表面修飾ハロイサイトに対する薬剤(抗ガン剤, CPT)の吸着/徐放特性を確認することができた。ハロイサイト表面へのポリスルホベタイン鎖の導入はグラフト鎖への薬剤の吸着も引き起こすため、吸着物質の選択性、徐放特性が低減する。ハロイサイト細孔内部の表面修飾による薬剤導入量の向上と、徐放特性制御を検討している。 4)結晶性の生分解性高分子であるポリ乳酸(PLA)にハロイサイトナノチューブ(HNT)を核剤として添加した際の結晶化挙動を評価した。添加したハロイサイトナノチューブとして、未修飾HNTとポリエチレングリコール(PEG)で修飾(をグラフト)したHNT-PEGを用いた。溶融状態から種々の冷却速度で結晶化した試料の示差走査熱量(DSC)測定の結果より、①HNTの添加により結晶化速度の上昇、②DSC測定時の再配列結晶化温度の低下、③高融点の結晶の形成が確認され、顕著な添加効果を示すことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ハロイサイトの精製、ハロイサイトの表面開始重合による表面改質などは順調に進行している。またハロイサイトによる生分解性結晶性高分子の核剤効果は当初の予定には無い研究であったが、結晶化促進効果が見いだされた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は小角X線散乱法や顕微手法を用いた精密な構造解析、力学・熱物性評価を展開し、表面化学修飾の最適化を行うとともに新しい材料の設計へとフィードバックする。
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