2014 Fiscal Year Annual Research Report
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26248061
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
谷口 尚 独立行政法人物質・材料研究機構, 先端材料プロセスユニット, グループリーダー (80354413)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
町田 友樹 東京大学, 生産技術研究所, 准教授 (00376633)
渡邊 賢司 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, その他 (20343840)
村田 秀信 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, 研究員 (30726287)
寺地 徳之 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, その他 (50332747)
大場 史康 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90378795)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | BCN固溶体結晶 / 炭素ドープ窒化ホウ素結晶 / 高圧高温合成 / ヘテロエピタキシャル成長 / 2D電子デバイス用絶縁性基板 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、2次元系(黒鉛型)及び3次元系(ダイヤモンド型)、(BN)(1-x)(C2)x相(2次元系ではx=0~1、3次元系ではx=0~0.1、0.9~1)の高品位結晶の合成を通じて、新たなBCN系機能材料の創製を目指している。 2次元系BCN結晶合成では、hBN結晶中への高温度下での炭素拡散により1E20~3E18atom・cm-3の炭素原子がhBN膜厚方向に濃度勾配を持ってドープされた。当該結晶のバンド端発光スペクトルが消失し、新たに紫外線発光(波長250nm)を呈するなど、光学的特性に大きな変化が見られた。高純度結晶中に局在する当該波長を呈する欠陥の起源は、別のSIMS分析により炭素起源であることが明らかにされ、これまで酸素及び炭素不純物の影響と考えられていた欠陥順位の起源が明らかとなった。このh-BN単結晶のラマン散乱マッピングを詳細に観察したが、不純物セクターの周辺に目立った歪みが存在しないことを見出した。 当該ドメイン上のグラフェンの電気伝導特性に対する影響を明らかにするため、劈開法により作製したhBNのCL観察、AFM観察、光学顕微鏡観察を行い、hBNのドメインをまたぐようにグラフェンを転写した。今後グラフェンのキャリア輸送特性を明らかにする。 3次元結晶系ではCを1E17~1E21cm-3までドープしたhBN結晶の高圧相転移によりCドープcBN多結晶体を合成した。また、プラズマCVD法により、cBN単結晶上へのダイヤモンド結晶のヘテロエピタキシャル成長を行った。ダイヤモンド上へのホモエピタキシャル成長と比較し、cBN結晶上のヘテロ成長の核発生ではマイクロ波パワーを下げる必要がある事を見出した。理論的研究では、立方晶窒化ホウ素およびダイヤモンド中のドーパントと点欠陥複合体を対象に第一原理計算を行うことにより、キャリアドーピングやカラーセンター形成の可能性のあるドーパント・点欠陥種について欠陥準位と形成エネルギーの観点から理論的に検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2次元系BCN結晶創製について、その基礎となる高純度hBN中に局在する欠陥順位の起源を炭素不純物として初めて明らかにした。更に高温度下での炭素ドープにより1E17~1E21cm-3までの炭素濃度を有するhBN結晶を調整し、その発光挙動を明らかにした。 当該炭素不純物が及ぼすグラフェンデバイス用基板への影響を明らかにするため、剥離・転写法による当該欠陥領域の特性評価に着手した。さらにこれら炭素ドープhBN結晶を原料とした3次元系炭素ドープcBN多結晶体を合成し、その機械的特性を評価した。また、cBN/ダイヤモンドヘテロ接合結晶も合成し、引き続きこれらの構造評価、機能探索に展開する。 以上、2次元及び3次元系BCN固溶体結晶の合成と特性評価に向けて研究は順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までに得られた結晶、固溶体の物性(光物性、グラフェンデバイス基盤としての評価)を進める。cBN/ダイヤモンドヘテロ接合結晶は高圧法、CVDの両方で進め、形成される界面の特性を相互比較しつつ、新たな機能の発現を目指す。 更にダイヤモンド中へのB,N同時ドーピングによる複合欠陥の形成と評価、さらなる異種元素の添加による新たな機能発現を目指す。
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