2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26249062
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
井村 順一 東京工業大学, 情報理工学(系)研究科, 教授 (50252474)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
早川 朋久 東京工業大学, 情報理工学(系)研究科, 准教授 (30432008)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 制御理論 / ネットワーク / モデリング / 遺伝子ネットワーク / 交通ネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、多面的な視点から動的なネットワーク構造の特性を制御理論や複雑ネットワーク系理論の視点から調べるために、主にバイオネットワーク系、交通流ネットワーク系に着目し、それぞれについて、その本質的特徴を解析的かつ数値的に調べかつ抽出し、本質的な特徴を有する数理モデルを提案してきた。以下に、その具体的な研究内容について述べる。 バイオネットワーク系に対しては、化学物質間で生じる化学反応が、すなわち、物質間での相互作用がネットワーク系を構成する本質であるため、その視点に立った検討を行った。その結果、状態量が正で、かつ2次の非線形特性が重要であることに着目し、その本質を抽出した「ポジティブ2次システムモデル」という新しい数理モデルを提案した。このモデルは、遺伝子ネットワーク系やシグナル伝達系を包含する、広いクラスに適用可能な数理モデルである。また、本モデルの有効性を示すために、そのモデルを用いた振る舞い解析として、ある種の安定性判別問題を定式化し,その基本的な解法の検討を行った。 一方、交通流ネットワーク系の制御モデルの検討として、交通流ネットワーク上での信号機制御を0-1の混合整数計画問題に帰着して定式化し、その有効性を数値シミュレーションにて検討した。その際、交通流ネットワークの本質を抽出するために、従来の区間ごとの相互作用を表す区間交通モデルを、相互作用を生じる交差点における入出力の保存性に着目することで、より少ない変数を用いて低次元化した位相交通モデルを提案した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、多面的な視点で動的なネットワーク構造の特性を調べ、問題設定や解法などの基本的な枠組みを構築することが目的であった。そこで、バイオネットワーク系と交通流ネットワーク系に対して、それぞれ、前者は非線形性の視点から、後者は流量の保存則の視点から、それらの特性を活かした数理モデルの定式化を行い、そのモデルを用いた問題設定、および、そのための基本的な解法を検討した。それぞれの視点で所望の数理モデルを構築する手法の基礎が出来上がり、概ね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、本年度の成果を踏まえ、ネットワーク系の可制御ネットワークモデル抽出のための基本構造の統一化を行う。また、引き続き、バイオネットワーク系、交通流制御モデルの両者について、個別のモデリングの検討を進める。とりわけ、バイオネットワーク系は、本年度提案したポジティブ2次システムモデルの有用性をさらに追及し、モデルの妥当性の検討を行う。一方、交通流制御モデルでは、車両間ネットワークのよりミクロな表現モデルの検討を行い、その本質を検討していく。
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Research Products
(5 results)