2014 Fiscal Year Annual Research Report
統合型情報プラットフォームとマルチスケール解析の高次元融合による構造物の性能評価
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26249065
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石田 哲也 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60312972)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 秀明 山口大学, 理工学研究科, 教授 (20207905)
田村 隆弘 徳山工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (60171899)
岩城 一郎 日本大学, 工学部, 教授 (20282113)
細田 暁 横浜国立大学, その他の研究科, 准教授 (50374153)
半井 健一郎 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10359656)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | コンクリート構造物 / データベース / ひび割れ / 耐久性 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)構造物と外部環境間での物質・エネルギー交換モデルの構築と統合型情報プラットフォームへの実装 コンクリート材料の状態と構造の応答・損傷を取り扱うマルチスケール統合解析システムに,個々の構造物の施工条件や供用中の環境条件を任意に,かつ出来るだけ簡易に反映すべく,構造物と外部環境間での物質・エネルギー交換モデルの構築を行った.具体的には,様々な気象条件(降雨,気温,湿度,日射)のもとでの,水分逸散,水分浸透,気体拡散,ひずみの変化といった耐久性指標に着目して,室内・野外実験との検証を行いながらモデルを構築した.さらに,海岸で発生する飛来塩分の発生・輸送・浸透を,波浪・風況や降雨の影響を加味して予測するモデルの構築を行い,統合プラットフォームに実装した. (2)データベースと数値解析システムの融合に向けた入出力インターフェースの整備 設計,施工,維持管理にかかわるデータベースと数値解析システム間の融合を図る上で必要不可欠な,解析システムの仕様およびインターフェースの整備を行った.書面の設計情報に基づき,半自動で有限要素メッシュを作成するプログラムの開発と,段階施工を取り扱い可能とするプログラム構造,また実際の環境条件に即した複雑な境界条件を入力可能なインターフェースの整備を実施した. (3)点検データベースの整備 劣化した構造物の性能を評価するうえで,重要度の高いデータを抽出するために,道路管理者が保有する点検データをもとに,統計学および数値解析の適用に資するデータベースを整備した.構造物の諸元,建設年,気象情報,交通量,凍結防止剤散布量,構造物の位置,時系列での劣化グレードなど,データベースに必要なフォーマットを決めるとともに,異なる事業者間での情報レベル(質および量)をすり合わせながら,データベースを構築した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記項目(3)の点検データベースの構築を行う過程で,当初の予想以上に,環境作用がコンクリート部材の耐久性・疲労損傷に影響を及ぼすことが判明した.データベースの分析により,新たな知見が得られた訳であるが,環境作用に関わる情報収集と整理・分析のため,当初の予定より4ヶ月が必要となった.これらの追加作業自体は順調に進捗し,学術的・工学的な分析に資するデータベースの整備を行うことができた.一方,当初の計画に記した,構造物の耐久性指標の評価・検証に着目した数値解析システムの検証,境界モデルの解析システムへの実装,データベースと数値解析システムの融合に向けた入出力インターフェースの整備については,順調に進捗している.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究成果に基づき,以下の項目について研究を行っていく. 1.数値解析モデルを用いた耐久性指標の解釈と分析 竣工検査あるいは維持管理時にモニタリングされる情報の中で,耐久性の指標となる項目を熱力学モデルにより評価・再現し,現時点から将来にわたる性能評価や寿命予測への活用につなげる.数値解析モデルの全般的な検証,適用範囲の拡大と高度化については石田,半井が,データベースを活用した初期ひび割れの評価については田村,細田が中心となって実施することとし,互いに密な連携を取りながら検討を進めていく. 2.構造性能の観点からみた重要度の高いデータの抽出 構造物の性能を評価する上で支配的あるいは影響度の大きい情報を抽出しリストアップすると共に,構造物の機能や形式に応じて優先的にモニタリング情報を取得すべき箇所を明らかにする.データの抽出にあたっては,今年度の研究テーマとして取り組んだ橋梁点検データ(東北地方)を活用すると共に,首都圏の点検データベースの整備を追加して実施する.凍害・塩害(凍結防止剤)といった環境作用が厳しい東北地方の構造物と,重交通が作用する首都圏の構造物を網羅することで,一般性の高い工学的知見を得たい.研究実施にあたっては,情報システムの構築に長けている中村および東北地方の劣化に詳しい岩城と密に連携して,石田が中心になって分析を進める.
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Research Products
(14 results)