2015 Fiscal Year Annual Research Report
統合型情報プラットフォームとマルチスケール解析の高次元融合による構造物の性能評価
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26249065
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石田 哲也 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (60312972)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
半井 健一郎 広島大学, 工学研究院, 准教授 (10359656)
中村 秀明 山口大学, 創成科学研究科, 教授 (20207905)
岩城 一郎 日本大学, 工学部, 教授 (20282113)
細田 暁 横浜国立大学, 大学院都市イノベーション研究院, 准教授 (50374153)
田村 隆弘 徳山工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (60171899)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 熱力学連成解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.数値解析モデルを用いた耐久性指標の解釈と分析 モニタリングや非破壊・微破壊検査等により構造物から得られる情報について、熱力学モデルを用いた数値計算による再現を行った。具体的には、構造物の耐久性を左右するひび割れに着目し、様々な配合や養生方法を与えた供試体・部材レベルの検討から、実構造物のひび割れ発生・進展に至るまでを数値解析により追跡し、モデルの妥当性を検証するとともにと実構造物への適用性を確認した。さらに、配合・養生を変化させたコンクリートの表層の品質指標(透水・透気等)と塩化物イオン浸透分布の関係、結合材の種類と塩分拡散係数ならびに比抵抗の関係を定量化し、耐久性指標の分析を進めるとともに、それらの物性を考慮に入れたマクロセル鋼材腐食モデルによって、厳しい塩害環境に置かれた部材の進展期末の推定を行った。 2.構造性能の観点からみた重要度の高いデータの抽出 厳しい寒冷環境に置かれた東北地方に置かれた橋梁点検データ(約2,600橋、約150,000サンプル)に対して生存時間解析(カプランマイヤー法およびCox回帰分析)を適用し、PC桁およびRC床版の劣化に与えるリスク因子の定量評価を行った。東北地方を対象とした場合、冬季および春季の降水量、路面縦断・横断勾配、凍結防止剤散布量、および排水・防水の有無などが、劣化損傷に与える大きな要因として統計的に抽出された。点検データベースに対して生存時間解析を適用するという新たな手法を提案するとともに、多数の構造物群の情報を格納したデータベースから重要な知見を抽出することに成功し、有用な工学的成果を得た。一方、個別の構造物の詳細な情報を格納したデータベースを用いて、実構造物に発生するひび割れの発生・進展を、数値解析により様々に検討した。ひび割れ発生をもたらす要因を明らかにするともにそれらの要因を排除するための設計手法について提案を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記項目(2)の点検データベースの構築を行う過程で、管理事業者によってデータの質と量が異なることが判明した。データ整理を行う上で、事前に予期しない困難さに直面したため、当初の予定より4か月が必要となった。ただし追加作業自体は順調に進捗した。ここで、構造物群の点検データに対して、生存時間解析(カプランマイヤー法、Cox回帰分析)を適用し重要な知見を抽出できたことは、計画時点で予期していない新たな学術成果である。これまで、医療統計分野において発展を遂げてきたリスク評価手法を、土木構造物に対して適用した事例は、国内外をみても極めて少なく、高い新規性と工学的有用性を有する手法を確立することが出来た。 一方で、構造物のモニタリング情報ならびにデータベースとマルチスケール統合解析の両者を組み合わせることで、小型供試体から実構造物スケールに至る材料と構造の振る舞い(初期ひび割れ、塩分浸透、鋼材腐食)を予測する研究項目については、計画通り順調に進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究成果に基づき,以下の項目について研究を行っていく。 1.モニタリングによる既設構造物の三次元デジタル情報を活用した構造物ならびに部材の性能評価:レーザースキャナにより取得した既存構造物の三次元デジタル情報(点群データ)を用いて数値解析に活用するとともに、点群データから特徴量を抽出し、生存時間解析を用いたリスク評価を行う。デジタル情報の効率的処理については中村が、特徴量の抽出とリスク評価は石田が実施することとし、互いに密な連携を取りながら検討を進める。 2.マルチスケール型環境作用・外力作用データベースの構築:コンクリート構造物の耐久性に影響を与える気象作用、飛来塩分作用の評価を行う。特に平井塩分作用については、波浪条件、風況、海岸からの距離等によって大きく変動するため、それらの要因を加味した飛来塩分発生・輸送モデルを構築すると同時に、塩分浸透に与える降雨の影響についてもモデル化を通じて定量的検討を行う。飛来塩分の測定方法について、土研式タンク、ガーゼ法、薄板モルタル法など、複数の手法が提案されているため、それらの手法の特徴についても、暴露試験を通じて明らかにする。実験および分析は岩城が、また解析モデルの検証は石田が行う。 3.設計・施工DBおよびモニタリング情報を活用した実構造物の性能評価:本研究プロジェクトで構築した技術を総合化して、新規に建設される実構造物を対象に、コンクリート構造物の性能評価を多角的に行う。評価の項目として、初期の強度発現、構造物内部の温度上昇、ひずみ、たわみ、ひび割れ等を取り上げ、本研究で構築した技術を用いて検証を行う。全員が担当する。
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Research Products
(33 results)
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[Patent(Industrial Property Rights)] 構造物情報提供システム2015
Inventor(s)
前川宏一,石田哲也,土橋浩,津野和宏,菅野晶夫,矢野裕司,尾暮敏
Industrial Property Rights Holder
前川宏一,石田哲也,土橋浩,津野和宏,菅野晶夫,矢野裕司,尾暮敏
Industrial Property Rights Type
特許
Industrial Property Number
2016-142662
Filing Date
2015-02-03
Acquisition Date
2016-08-08