2017 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26249086
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
大場 修 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (20137128)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
砂本 文彦 神戸女子大学, 家政学部, 教授 (70299379)
玉田 浩之 大手前大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (70469112)
角 哲 名古屋市立大学, 大学院芸術工学研究科, 准教授 (90455105)
長田 城治 郡山女子大学, 家政学部, 講師 (70734458)
村上 しほり 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 部局研究員 (50746104)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 接収住宅 / 占領軍家族用住宅 / GHQ / 米国立公文書館 |
Outline of Annual Research Achievements |
・昨年度から継続して今年度も米国国立公文書館にて、RG111(米陸軍通信隊記録)とRG80G(米海軍記録)の継続調査及び収集を行った上で、他のレコードグループにも対象を広げ、RG243(米戦略爆撃調査団記録)やRG342(米空軍記録)も閲覧し、資料概要を把握した。あわせて、これまで収集した写真資料をデータべース化する手法を検討した。米文書館では、同時に佐世保と横須賀を中心に旧日本海軍施設の写真を収集し,全国にわたる接収住宅並びに接収施設、航空写真のスキャン作業も進めた(以上、玉田・砂本・角が担当)。 ・2015年より米国国立公文書館にて3年間にわたり継続的に収集したRG111とRG80Gに関する写真データについて、各写真リストとして編集し印刷した(大場担当)。 ・日本各地における文献複写については、中国地方を中心とした関連資料の収集を進め(砂本担当)、北海道立文書館の『北海道新聞』から占領期関連記事を,札幌市立公文書館の『札幌市勢要覧』から接収土地・建物の接収と解除の年月を把握し(角担当)、外交文書や地方公文書等と米公文書から占領期の兵庫県下に置かれた神戸基地の範囲と推移を検討した(村上担当)。 ・さらに、昭和20年の請負金額上位10社の建設業会社史から,戦後,建設技術の占領軍関連工事の影響を整理した(角担当)。また、占領下日本で接収されたホテルを対象に、ホテル接収の形態とその動向を整理して接収ホテルの全体像を把握しつつ、日光地区を取り上げて詳細調査を実施し、古写真や行政文書等からホテルの利用実態と建物の特徴を考察した(長田担当)。 ・研究成果発表については、米国国立公文書館と国立国会図書館憲政資料室所蔵の米公文書を基に「占領下日本における部隊配備と占領軍家族住宅の様相」を『建築学会計画系論文集』に投稿し、採録された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
米国国立公文書館に所蔵されているRG111(米陸軍通信隊記録)とRG80G(米海軍記録)について、3年間の複写作業の成果を2冊の写真リストとして編集印刷できたことは、これらが今後日本の占領期における都市史研究・建築史研究の基盤的資料となるはずであり、本科研研究前半の重要な成果として評価できると考えている。 また、「占領下日本における部隊配備と占領軍家族住宅の様相」を投稿し『建築学会計画系論文集』に掲載されたことは、米国国立公文書館における資料調査の具体的な成果として意義深いと考えている。占領期における連合軍の日本国内における部隊配置の全容と、D.H.(占領軍家族用住宅地区)の全国所在とその様相について総括したこの成果は、今後の占領期日本の都市や建築・住宅の諸状況を検討する基礎的な知見として評価できる。 さらに、占領期の建設業の動向把握や全国ホテルの接収状況の把握などについては、次年度以降の研究に向けた予備的作業であり、進捗状況として評価できると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで本研究課題がとりあげてきた日本各都市やエリアは、「京都、大阪、山形、岡山、宮崎、滋賀(大津)、札幌、愛知(名古屋)、神戸、福岡」などと、広範囲にわたる。これらの各論的・事例的研究を踏まえ、今年度は各都市やエリアにおける接収住宅・建築や接収地区に関する横断的検討を進める。 具体的には、接収住宅における暮らし(「進駐軍将校」の階級や生活文化)、占領下の諸都市における進駐軍労務、旧軍財産の引継ぎ(二重の接収)に関わる実態、占領下の慰安娯楽施設の状況、保養地・保養施設における影響、朝鮮戦争後の占領軍の展開(占領から駐留へ)、接収解除後の都市整備(公園、大学、公団他)などについて、分担者間で課題を分けつつ検討する。 その上で、最終年度として5年間の研究成果を著書としてまとめる作業に着手する。この作業は、本年度においては著書の企画と構成をまとめ、執筆分担を決める。次年度末の刊行を目指す。
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Research Products
(3 results)