2014 Fiscal Year Annual Research Report
全構造・全元素・全吸収端内殻励起スペクトル計算法の確立による物質計測の新展開
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26249092
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
溝口 照康 東京大学, 生産技術研究所, 准教授 (70422334)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池野 豪一 大阪府立大学, 21世紀科学研究機構, 講師 (30584833)
田村 友幸 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (90415711)
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Project Period (FY) |
2014-06-27 – 2017-03-31
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Keywords | 表面・界面物性 / 原子電子構造 / 第一原理計算 / 電子顕微鏡 / セラミックス / ELNES / XANES |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請研究は3つのサブテーマについて同時進行で研究を行う.それぞれの項目についての平成26年度の研究成果は以下のようになっている. 1)最適スペクトル計算法探索のための系統的1粒子・2粒子・多粒子計算:平成26年度においては蓄電池応用に重要なNa-L2,3端について,一粒子計算と二粒子計算を系統的に行い,その再現性を比較した.その結果,二粒子計算効果が物質によって大きく異なることを見出した.さらに,電子構造を詳細に解析した結果,二粒子効果と電子構造との相関性を見出し,最適スペクトル計算法探索についての知見を得た. 2)複雑原子配列および磁気円二色性(MCD)における多粒子計算法の開発:大規模モデルを用いた多粒子計算法の確立を目指して直接配置間相互作用法(direct-CI)法の開発を行った.Davidson法,Green関数法と共に,ハミルトニアン行列の要素を必要な時にon-the-fly計算する手法を開発し,使用メモリを大幅に削減することができた.また,磁気円二色性(MCD)の計算に関して,ハミルトニアンにZeemannエネルギーを含む配置間相互作用計算法を開発した.これにより,磁場依存性を計算することが可能となり,磁気構造を解析することが可能となった. 3)1,000原子モデルのELNES/XANES理論計算法の確立:プログラムの省メモリ化と高並列化処理を行うとともに,数値計算ライブラリの最適化を行うことによる計算速度の向上を図った.具体的には,実行時の主メモリ量および通信メモリ量を大幅に削減するための改良を行い,504原子からなるガラスモデル計算が可能となった.現時点では少し計算時間がかかるものの,全原子スペクトル計算等の系統的な計算が十分に可能であることを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画における平成26年度の目的は1)最適ELNES/XANES計算法探索,2)第一原理MCD計算法の確立,3)500原子モデルの大規模ELNES/XANES計算法の確立.である. 実際に1)については,特に二粒子効果について,電子構造と二粒子効果との相関性を明らかにすることに成功し,最適計算法探索に関する重要な知見を得た.2)については,定量性に問題があるものの,大規模MCD計算法の開発に成功した.3)については,ライブラリの最適化などを行い,目標であった500原子を超えるモデルの計算に成功した. 以上のように当初の目的である上記の1),2),3)がほぼ達成されていることから「おおむね順調に進展している」といえることができる.
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Strategy for Future Research Activity |
1)最適スペクトル計算法探索のための系統的1粒子・2粒子・多粒子計算:これまでに,特に低エネルギーの吸収端について,様々な計算方法を適用してその再現性を調べてきた.一方で,まだ明らかになっていないこととして,高エネルギー領域の吸収端における二粒子効果があげられる.これまで二粒子効果は高エネルギー側では無視できるとされてきた.一方で,バンドギャップエキシトンについてはその効果が電子構造と深く関係していることが知られており,高エネルギーエキシトンについても同様な効果が考えられる.平成27年度以降について,この高エネルギーにおける最適スペクトル計算法を調べる. 2)複雑原子配列および磁気円二色性(MCD)における多粒子計算法の開発:現在までに開発したMCDスペクトルの第一原理計算法は,現時点では磁性イオン間の交換相互作用を取り入れていない.そのため,MCDスペクトルの絶対強度を求めることができず,微細なMCDシグナルの定量は困難である.平成27年度以降においては磁性イオンを複数導入することにより絶対強度の高精度な定量を目指す. 3)1,000原子モデルのELNES/XANES理論計算法の確立:今後原子数増加に伴って必要なメモリ量がさらに増加するために,これまで以上の省メモリ化が必要と予想される.また,計算実行時間も増加するため,数学ライブラリの利用も含めた計算ルーチンの効率化が必要と予想される.それらを実施することにより,来年度以降は1,000原子規模の計算を実現する.さらに,独自開発した古典分子動力学法コードにより多成分系ガラスのモデルを構築し,アモルファス光学材料のELNES/XANES計算を試みる.
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[Journal Article] Impact of local strain on Ti-L2,3 electron energy-loss near-edge structures of BaTiO3: A first-principles multiplet study2014
Author(s)
S. Ootsuki, H. Ikeno, Y. Umeda, H. Moriwake, A. Kuwabara, O. Kido, S. Ueda, I. Tanaka, Y. Fujikawa, and T. Mizoguchi
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Journal Title
Microscopy
Volume: 3
Pages: 249-253
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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[Journal Article] Impact of local strain on Ti-L2,3 electron energy-loss near-edge structures of BaTiO3: a first-principles multiplet study2014
Author(s)
1.Shirou Ootsuki, Hidekazu Ikeno, Yuji Umeda, Yu Yonezawa, Hiroki Moriwake, Akihide Kuwabara, Osamu Kido, Satoko Ueda, Isao Tanaka, Yoshinori Fujikawa, and Teruyasu Mizoguchi,
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Journal Title
Microscopy
Volume: 63
Pages: 249-254
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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[Journal Article] The quest for quantitative analytical microscopy at atomic resolution2014
Author(s)
L.J. Allen, A.J. D'Alfonso, S.D. Findlay, W. Grogger, M. Haruta, F. Hofer, J. Hwang, K. Kimoto, G. Kothleitner, N.R. Lugg, T. Mizoguchi, M.J. Neish, J.Y. Zhang, S. Stemmer
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Journal Title
AMTC letters
Volume: No.4
Pages: 244-245
Peer Reviewed / Int'l Joint Research / Acknowledgement Compliant
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[Presentation] 溝口照康2015
Author(s)
溝口照康
Organizer
NIMS微細構造解析プラットフォーム2014年度
Place of Presentation
NIMS 千現地区,つくば
Year and Date
2015-03-02 – 2015-03-02
Invited
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