2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26249103
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高村 仁 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30250715)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
亀川 厚則 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90292242)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | SOFC / テープキャスト法 / 発電特性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、種々の燃料電池中で最高の発電効率を示す固体酸化物形燃料電池(SOFC)を、より小型、高効率、堅牢、安価 とする新たな積層型デザインを提案し、その原理実証と高出力化を目的とする。この積層型マイクロSOFCを実現するために、1) セル設計と湿式プロセスによる積層型マイクロSOFCの作製、2) 高温焼成可能な混合導電性カソード材料の探索、といった材料開発に加えて、3) ガス流路内における輸送現象と電気化学反応の理解、という学理の構築が研究課題となる。 今年度は積層型マイクロSOFCの作製とその原理実証を行なった。まず固体電解質となる安定化ジルコニアの粉末をバインダー、可塑剤等と混練しスラリー化し、ドクターブレードによりフィルム上にテープキャストした。続いて、固体電解質シート上に多孔質電極層となる金属サーメッ トを印刷した。積層されたセルの焼結条件の最適化によりクラックのない積層型マイクロSOFCが得られた。積層体の欠陥の有無は断面SEM観察に加えて、開回路起電力の測定により確認された。開回路起電力ならびに発電特性の測定はHe雰囲気で900℃まで昇温させ、試料のアノード側のみを石英管と同径のホウケイ酸ガラスを溶融シールとすることで行なった。燃料極側のガス組成はガス質量分析計でモニタリングし、シール完了後、空気の漏れが300 ppm以下であることを確認した。十分なHeパージ後、アノード側には5%水素を、カソード側には空気を供給し発電特性を測定した。測定は900℃から600℃まで行った。 乾燥希釈水素をアノードに供給したとき、開回路電圧は全ての測定温度において約1.2 Vとなり、シール部、セル内部を含めて機械的リークのないことが確認された。また、900℃において6.7 mAの最大電流、2.17 mWの最大電力を得ることができ、この試作セルが作動可能であることを実証した。また、難焼結性カソード作製のために必要な酸化チタンの薄膜作製条件を最適化した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の計画は、積層型マイクロSOFCの作製とその原理実証である。研究実績の概要に記載したとおり、 1)焼結条件の最適化によりクラックのない積層型マイクロSOFCが得られた、2)欠陥がないことが断面SEM観察と開回路起電力の測定から確認された、3)900℃での発電特性として6.7 mAの最大電流、2.17 mWの最大電力を得ることができ、この試作セルが作動可能であることを実証した。 これに加えて、 4)来年度実施予定のLa-Sr-Co-Fe系酸化物へのTi置換についても薄膜コーティング条件の最適化を完了した。 よって、所期の計画通りに進捗していると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、積層型マイクロSOFCの作製とその原理実証が達成された。次年度は低い電流密度と最大電力を改善するために、多孔質電極の構造最適化と高温同時焼結が可能な難焼結性混合導電体の開発を実施する。そのためには、まず多孔質電極内のガス拡散抵抗と電極反応を正確に理解する必要がある。そのために拡散限界電流の測定を行なう。電極サイズの異なるセルにおいて拡散限界電流を測定することで、最適な電極構造の知見が得られる。また、難焼結性混合導電体の開発においては、La-Sr-Co-Fe系酸化物へのTi置換を検討する。
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Research Products
(8 results)