2015 Fiscal Year Annual Research Report
分子内水素移行型水素化分解反応を活用したバイオマス化成品合成
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26249121
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
冨重 圭一 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50262051)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 触媒 / バイオマス / 水素化分解 / 脱水素 / 改質 / 水素移行 |
Outline of Annual Research Achievements |
バイオマス関連化合物中に含まれる酸素原子を低減させる反応として、通常は外部から水素を供給して還元剤として用いる方法が知られているが、より理想的には、基質となっている分子内から水素を供給することができれば、外部水素の供給の必要がなくなる。そのためには、触媒には、水素化分解活性と同時に、脱水素反応や水蒸気改質反応など水素を発生する反応に対しても活性を持つ必要がある。本研究は、炭素―酸素結合の水素化分解反応に有効な触媒を表面修飾することにより水素を発生する能力を付与した触媒の開発を目指すものである。これまで見出された触媒として、Rh-MoOx触媒やIr-ReOx触媒がある。Rh-MoOx触媒については、分子内水素移行を活用した水素化分解だけでなく、1,4-アンヒドロエリスリトールの水素化分解により高い2-ブタノール収率を与えることを示した。また、Ir-ReOx触媒については、Ptを添加することで、基質の一部を水相での改質反応により水素を発生する機能が付与され、C6の糖アルコールであるソルビトールを基質として、外部水素を用いない反応を行ったところ、C5,C6のアルカン及びC2-C6のケトン、アルコール、環状エーテルなど酸素含有率が低くガソリン領域に含まれる有用な生成物を炭素ベースで40%以上が得られることを示した。触媒の構造解析などから、添加されたPtは、Ir金属微粒子に取り込まれ合金を形成していることもわかり、ReOxで表面修飾されたIrとPtを含む合金微粒子が、水素発生、水素移行、水素化分解などのステップに有効触媒として機能しているものと推測される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
有効な触媒として、Pt修飾Ir-ReOx/SiO2等を見出しており、おおむね順調に進んでいるとしてよいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究においては、基質は、モデル基質として、2,4-ペンタンジオール、エリスリトール、1,4-アンヒドロエリスリトール、ソルビトールなどを用いて触媒開発を行ってきた。機構解明という点からはより単純な構造を持つグリセリンを用いて試験を行うことにより、触媒成分の機能、反応機構などの詳細を検討する。同時に有効な開発触媒については、詳細な構造解析を進め、機能や機構と構造の関係について考察する。
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