2016 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26249125
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大政 健史 大阪大学, 工学研究科, 教授 (00252586)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西島 謙一 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (10262891)
河原 正浩 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (50345097)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | バイオ医薬品 / チャイニーズハムスター卵巣細胞 / ゲノム育種 / 抗体医薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
抗体医薬品を代表とするバイオ医薬品は、現代医療に不可欠なものとなっている。2012年の世界市場ベスト10医薬品の内、バイオ医薬品は7品目(抗体医薬品は6品目)を占めており、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO細胞)は、この中の抗体医薬品5品目における生産宿主細胞である。今後も、多機能性を持たせたより複雑な構造を持つ抗体を安定かつ迅速に高生産させるなど、更なる技術開発が求められている。本課題では、近年目覚ましく発展したゲノム解析を活用したゲノム育種に関する基盤的研究を行っている。 H28年度は、これまで行ってきた3つのサブテーマ:1)高度ゲノム編集技術を用いた染色体安定メカニズムの解明(担当:大政)、2)ゲノムスケールリモデリングを指向した細胞信号伝達系プロセス構築(担当:大政、河原)、3)ゲノム育種による新規セルエンジニアリング技術(担当:大政、西島、河原)を並列で進めるとともに、これを総括する形で、染色体数の異なる細胞の遺伝子発現について、発現量を細胞数で補正する方法を確立した。異なる染色体数を持つ細胞の遺伝子発現を比較するのはこれまで基準となるゲノムの全体量が変動しているため、何を基準として比較するのか、これまではっきりとした基準が存在しなかった。そこで、細胞あたりの総発現遺伝子について、その発現量と細胞の大きさとの関連についてのプロファイルを作成し、染色体数の異なる細胞間における発現について比較を行った。また、前年度に行った網羅的遺伝子発現比較から同定した染色体数変化に関わる候補遺伝子群について、変動に関わる原因についての検討を開始した。さらに、前年度に単離同定した安定染色体関連領域について、抗体生産への有効性に関する検討を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
単離同定した安定染色体関連領域についてのセルエンジニアリングによる検討を開始するなど、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度であるH29年度は、これまで設定していた3つの分担課題:1)高度ゲノム編集技術を用いた染色体安定メカニズムの解明(担当:大政)、2)ゲノムスケールリモデリングを指向した細胞信号伝達系プロセス構築(担当:大政、河原)、3)ゲノム育種による新規セルエンジニアリング技術(担当:大政、西島、河原)をさらに並列統合化して検討し、各課題間で得られた知見を互いに組み合わせ、ゲノム育種による基盤技術を取り纏める。 これまでの年度で得られたHiCEP (High Coverage Expression Profiling) 法による網羅的発現比較に基づいた染色体安定性に関わる候補遺伝子と変動要因を取り纏めて、染色体変動に関わる原因について考察し、細胞信号伝達系プロセス構築ならびにゲノム育種による新規セルエンジニアリング技術と取り纏め、ゲノム育種技術を総括する。
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Research Products
(29 results)