2016 Fiscal Year Annual Research Report
熱・水・応力・化学連成場の岩盤透水・力学特性の解明と連成数値シミュレータの開発
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26249139
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
安原 英明 愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 教授 (70432797)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岸田 潔 京都大学, 工学研究科, 教授 (20243066)
小山 倫史 関西大学, 社会安全学部, 准教授 (20467450)
菊本 統 横浜国立大学, 大学院都市イノベーション研究院, 准教授 (90508342)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 岩石不連続面 / 透水・力学特性 / 連成シミュレータ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,単一不連続面を有する花崗岩を対象とし,温度・拘束圧・pH条件を制御した環境で透水試験を実施し,透過率の変化を時系列で観察した.また,透過率の変化に影響を及ぼす鉱物の溶解・沈殿等の化学作用を,ICP発光分光分析で評価した.さらに,透水試験前後の供試体を用いて,走査型電子顕微鏡観察を行うことで二次鉱物の有無を確認した.そして,透水試験前後の供試体に対して不連続面形状測定を行うことで,透水試験の影響による不連続面形状変化を精査した.具体的な実験結果は下記の通りである. 超純水を用いた透水試験(E-15)では,約100時間後には1オーダー程度透過率が減少した.温度を上昇させると一時的に透過率が増加したが,その後は単調に減少した.また,鉱物飽和水を用いた循環透水試験(E-16)では,実験開始直後に大幅な減少を確認したものの,その後は緩やかに単調減少した.既往研究の結果と比較すると,E-15については透過率の変化率は概ね一致していたことから,再現性を確認できたと考えられる.また,E-16は同じ境界条件の試験よりも透過率が減少していることが確認された.これは,透過水のSiO2濃度を過飽和としたことにより,供試体不連続面における自由表面溶解が抑制され,さらに二次鉱物や沈殿作用が生じたためであると考えられる.本来岩は高温,高pHである程透過率が減少するといわれているが,室温,高pH条件では透過率がほぼ減少していない.このメカニズムの解明は今後の課題である. また本研究では,汎用性と再現性を兼ね備えたTHMC連成解析モデルの開発を目的とし,THMC連成解析モデルの構築,構築したモデルの妥当性・有用性検証を実施した.その結果,開発した解析モデルは,鉱物溶解現象に伴う岩石実部における水理学特性変化を高い精度で予測可能であることが確認できた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H28年度は,研究計画通り,室内試験および連成シミュレータの開発を実施した.
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Strategy for Future Research Activity |
H29年度は,当初の予定通り室内試験を実施し,実験データを蓄積する.また,開発した数値解析シミュレータを高度化し,実問題へ適用する.
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