2014 Fiscal Year Annual Research Report
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26251009
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
富田 耕造 独立行政法人産業技術総合研究所, バイオメディカル研究部門, 上級主任研究員 (00345274)
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Project Period (FY) |
2014-06-27 – 2017-03-31
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Keywords | 構造解析 / RNA / 蛋白質 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、QβウイルスRNA複製酵素と宿主由来の翻訳伸長因子EF-Tu、EF-Tsおよびリボソーム蛋白質S1のN末端領域(OBフォールドを3つ含む)の4者複合体の結晶化、構造決定に成功した。この4者複合体は、QβウイルスのゲノムRNA複製(プラス鎖RNAからマイナス鎖RNA)を行うことができるとともに、ウイルスRNA(プラス鎖)の3'末端からおよそ1000ヌクレオチド上流に位置する特定の領域(M-サイト)配列に依存して忠実にRNA複製を開始できることも, 申請者が構築した試験管内ゲノムRNA複製システムを用いて確認した。一連の構造解析、生化学的な解析から、リボソーム蛋白質S1はN末端に位置する2つのOBフォールドを介して複合体中のβサブユニットへのみ結合し、3番目のOBフォールドは複合体とは相互作用せず、複合体表面から溶媒中につきでていることが明らかになった。さらに、この3番目のOBフォールドのM-サイトRNAへの結合能力とQβウイルスのゲノム複製に相関があることも明らかになった。これらのことからリボソーム蛋白質S1の可動性をもつN末端から3番目に位置するOBフォールドがQβウイルスゲノムRNAを特異的に認識することによって、ゲノムRNAをQβウイルスRNA複製酵素複合体へリクルートし、その結果、Qβウイルスのゲノム複製開始が効率よく進行することが示唆された。このことは、蛋白合成開始に関わるリボゾーム蛋白質が、RNA合成開始因子として機能することを示唆する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画のうち、QβウイルスRNA複製酵素の3番目の宿主因子リボゾーム蛋白質S1の機能を構造、生化学的解析を通して明らかにできた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、本申請で対象としている鋳型非依存的RNA合成酵素と各種RNAとの複合体の構造解析、機能解析を進める。これまで、いくつかの結晶が得られており、またそのうちのいくつかに関しては構造を決定できている。
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Research Products
(12 results)