2014 Fiscal Year Annual Research Report
個体深部の生命機能を非侵襲的に操作可能なケミルミノジェネティクス技術の創成
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26251018
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
永井 健治 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (20311350)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 化学発光タンパク質 / 光感受性タンパク質 / オプトジェネティクス / 発光基質 / ケミルミノジェネティクス |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は基質の代謝回転が速い発光タンパク質変異体の開発を目指した。この目的のために、エラー誘発PCRによりランダムに遺伝子変異の挿入を行い、大腸菌に発現させて寒天プレート上にコロニーを形成させ発光基質を投与し、発光強度を計測した。高いターンオーバーを示す変異体ほど、発光強度が大きいと考えられるため、発光している各コロニーに関して、発光強度の減衰を露光時間20秒で10分間測定した。発光減衰が比較的速いと思われるコロニーをピックアップ後、そのタンパク質を精製し、タンパク質ベースで10秒間の発光減衰を観察した。その結果、指数関数フィッティングにより減衰時間が約3倍短い変異体を得ることに成功した。さらに、発光反応近傍のアミノ酸に変異を導入することで発光強度のさらなる向上を目指した。 一方、NLucの発光ピークは450nm付近であるため、NLucから赤色光増感タンパク質SuperNovaへの励起エネルギー移動を行わせることはスペクトルオーバラップの観点から困難である可能性が考えられた。そこでSuperNovaの吸収極大付近に発光ピークをシフトさせることを目的としてNLucから緑色蛍光タンパク質へのFRETを高効率に行わせることで緑色に発光するタンパク質の開発を目指した。100種類以上のリンカーアミノ酸を試行した結果、エネルギー移動効率がほぼ100%となる融合タンパク質を得ることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の最終目標の一つである発光タンパク質と光増感タンパク質を融合し、発光基質の添加によって活性酸素を産生する発光増感タンパク質を開発するためには、光増感蛍光タンパク質SuperNovaの吸収スペクトルと大きくオーバラップし、かつ発光強度の高い発光タンパク質が必須である。平成26年度は100%近い高率でNLuCからGFPへのエネルギー移動を起す融合タンパク質を作成することができた。このタンパク質はNLuc以上の発光強度を有し、かつ発光波長が緑色にシフトしており、当初の目標通りかそれ以上の性能を有していた。
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Strategy for Future Research Activity |
NLucのさらなる高光度化のために、結晶構造が未知のNLucにおける酵素反応部位を予測し、その周辺のアミノ酸に部位特異的ランダム変異を導入する。 また、平成26年に作成したNLuc-GFP融合タンパク質にさらにSuperNovaを連結する。その際、GFPからSuperNovaへの励起エネルギー移動効率が100%近くになるように双方を繋ぐリンカー配列や連結角度を最適化する。得られた融合タンパク質の基質投与依存的な活性酸素産生能を計測し、十分量の活性酸素が産生されるようであれば細胞に発現させ、基質投与依存的な細胞死の誘導能を評価する。
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Research Products
(14 results)