2014 Fiscal Year Annual Research Report
大型類人猿とヒトにおける胎児期を含めた比較形態発生:四肢骨格類似性の進化起源
Project/Area Number |
26251048
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中務 眞人 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (00227828)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森本 直記 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (70722966)
山田 重人 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80432384)
荻原 直道 慶應義塾大学, 理工学部, 准教授 (70324605)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 人類進化 / 大型類人猿 / 比較解剖 / バーチャル解剖 / 個体発生 |
Outline of Annual Research Achievements |
現生の大型類人猿の四肢と体幹の骨格には、共通する特徴が数多く見られ、その一部はヒトとも共通する。こうした特徴が、これら系統の共通祖先に由来するのであれば、これら相同形質は共通祖先の適応状態を明らかにし、各系統において、共通祖先以降どのような進化が起こったかを解き明かすことができる。例えば、チンパンジーとゴリラのような短縮した腰部脊柱がそれらの共通祖先に由来するならば、チンパンジーの姉妹群であるヒトも、そのような段階を経て、二次的に長い腰部脊柱を獲得したと考えられる。しかし一方で、これらの類似点は、平行進化によって発生したものだとする意見は、化石類人猿研究者に根強くあり、双方の陣営の間で議論が続いている。 本計画は、ヒトと現生大型類人猿の体幹と四肢骨格に見られる特徴が、胎児期から誕生後の成長過程を通じ、どのように形成されるかを明らかにし、その発達様式比較より、成体の骨格に認められる類似性が、進化的起源を共通とする相同形質か、平行進化の結果現れた類似かを判別することを目的としている。研究対象は現生大型類人猿とヒト、さらに外群として小型類人猿テナガザル類の胎児・新生児液浸標本と、これらの未成熟個体の骨格標本である。本年度はこの目的のため、X線CT装置を導入し、データ処理を含め、本格稼働できる体制を整えた。これまで、チンパンジー36個体、ゴリラ10個体、オランウータン8個体、テナガザル類14個体の胎児・新生児液浸標本のCTデータを収集した。本計画の背景と目的、展望について、日本霊長類学会大会、日本人類学会大会で口頭発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本計画で最も重要な点はヒト上科霊長類の胎児、新生児資料が十分に収集できるかどうかである。これらの資料は、骨化の程度が低いため、骨格化されてしまうと計測が困難である。そのため、液浸標本でなければならない。これまで、チンパンジー36個体、ゴリラ10個体、オランウータン8個体、テナガザル類14個体の胎児・新生児液浸標本のCTデータを収集した。ヒトについては、5個体の撮影を行った。このようにデータ収集は順調に進んでおり、27年度前半には、体長、四肢長などの代表的な計測値収集を行い、発達段階との関連づけができると予想される。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度中に、ヒト胎児標本のデータ収集を完了させる。類人猿資料をさらに拡充すべく、新たにベルリン自然史博物館とゲッチンゲン大学医学部所蔵の液浸標本を、エルンスト・モリッツ・アルント大学の協力を得て、CT撮影することを計画している。また、ケニア国立博物館の液浸標本についても、利用可能なものがないかを検索する。このように27年度中に、データ収集をほぼ完了させることを目指す。年度前半には、体長、四肢長などの代表的な計測値収集をおこない、資料の発達段階分布など、分析のための基盤整備を行う。後半は、四肢の相対長などについて成長様式の定量化を始める。
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Research Products
(4 results)