2014 Fiscal Year Annual Research Report
活性型転移因子を利用したゲノムショック育種法の開発
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26252002
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
奥本 裕 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (90152438)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺石 政義 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 講師 (80378819)
築山 拓司 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (00423004)
齊藤 大樹 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (10536238)
小出 陽平 京都大学, 学内共同利用施設等, 助教 (70712008)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | イネ / 転移因子 / 生育強勢 / ストレス耐性 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)同一のIM294個体の自殖次代に分離したVGI個体とIM294型個体を用いてmPing挿入箇所を次世代シークエンス(NGS)で特定した。この結果、復帰当代のVGI個体(R1)のmPing挿入箇所は704箇所であり、IM294型個体(R1-sib)は580箇であった。さらに、VGI個体の次代の1個体(R2)およびIM294型個体(R2-sib)では、588箇所および627箇所であった。したがって、VGI個体ではmPing転移の活性化によって却ってmPingのコピー数が減少していた。これら4個体に共通する挿入箇所は347であり、R1およびR2に特異的なmPing挿入箇所は89および101あった。IM294型個体であるR1-sibおよびR2-sibが、それぞれ146および104箇所であったことから、VGI個体におけるmPingコピー数の減少は切り出しの増加によるものと考えられた。
2)高温条件下で栽培したIM294系統から生育が旺盛な個体(HAI: Heat Adaptive IM294)が分離した。HAIのRurm1座はmPing挿入が保持されていることから、復帰に伴う変異ではない。Rurm1はtRNAのチオ化修飾経路に関与しており、Rurm1が非機能型のIM294はタンパク質の翻訳異常を示す。生育温度が高い場合(30℃)、銀坊主に比べてIM294の生育が遅延するのはタンパク質翻訳効率の低下に起因すると考えられる。しかし、生育温度が低い場合(25℃)、IM294型個体の生育は銀坊主と変わらない。タンパク質翻訳効率の温度依存性は酵母でも確認されており、生育温度が低い場合には翻訳速度が低下して翻訳効率が被覆される。したがって、HAIは高温で生育させたIM294系統において高温適応性を獲得した可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
VGI個体および姉妹IM294型個体に関して、mPing挿入箇所に関する詳細な情報を得ることができ、VGI個体分離に際してmPing転移の活性化ならびにmPingの大規模な切り出しが生じていることが判明した。
ストレス環境下での耐性個体については、銀坊主集団からは候補個体を得ることが出来なかったが、IM294集団から高温ストレスに適応したと考えられる個体を得ることができた。IM294では銀坊主に比較してもmPing転移活性が高いことから、mPingの新規挿入による高温耐性獲得である可能性が高い。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度にIM294系統内の4個体についてmPing挿入箇所を次世代シークエンスにより同定した。その結果、IM294内にはmPing挿入箇所に関する大きな個体間変異が認められた。mPingの転移によって、mPing転移活性やVGI型個体の分離頻度などに関しても、変異が蓄積されている可能性が高い。この点を確認するため、mPing転移活性およびVGI型個体の分離頻度に関して、系統間差異を確認するとともに、選抜実験を実施する。
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