2016 Fiscal Year Annual Research Report
Rice breeding strategy with the use of active transposable elements
Project/Area Number |
26252002
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
奥本 裕 京都大学, 農学研究科, 教授 (90152438)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺石 政義 京都大学, 農学研究科, 講師 (80378819)
齊藤 大樹 京都大学, 農学研究科, 助教 (10536238)
築山 拓司 近畿大学, 農学部, 准教授 (00423004)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | イネ / 転移因子 / ゲノム改変 / ストレス耐性 |
Outline of Annual Research Achievements |
細粒突然変異系統の自殖後代に分離する復帰型個体において、生育強勢個体が認められる遺伝的機構を明らかにするため、生育強勢個体の次代に分離したバイオマス生産性の高い個体と日本晴との交雑後代を用いた。生育強勢関連形質に関してmPing-SCARマーカー(mPing挿入多型)を利用した予備的解析を実施した。その結果、粒重、粒大、二次枝梗数に関して新たなQTL遺伝子座が見出された。 また、複数の復帰突然変異個体から数世代自殖を重ねて育成した系統群(1系統群が1復帰突然変異個体由来)を供試して、農業形質の分離を観察した。明瞭な形質分離に観察された系統群に関しては、形質分離と連関するmPing挿入を特定する。 mPingの遺伝子上流部位への挿入が下流遺伝子のストレス応答性に及す効果を明らかにするため、mPing挿入を遺伝子上流にもつ遺伝子をライブラリーから探索した。複数個の遺伝子座について上流へのmPing挿入によるストレス応答性の変化を観察したが、mPing挿入が遺伝子のストレス応答性を大きく改変する事例は多くはなかった。 さらに、複数系統の細粒突然変異系統IM294を供試して復帰突然変異頻度ならびに生育強勢個体分離頻度に関する系統間差異を観察した。この結果、復帰型個体の中から生育強勢個体が一定の割合で分離する訳ではなく、復帰頻度と生育強個体分離頻度との間には一定の関係は認められなかった。したがって、生育強勢個体の出現のきっかけは復帰突然変異であるが、生育強勢が分離するためには一定の条件が必要と推察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
生育強勢個体の解析に関しては、供試材料の育成および観察は予定通り進行している。生育初期において復帰型個体および復帰に伴って生育強勢を示す個体は概して細粒突然変異個体に比べて生育速度が早い。しかし、幼苗期における両者の差異は小さく生育強勢個体を区別することができない。両者の差異が顕著になるのは出穂開花期以降であるが、生育初期において生育強勢個体を特定できればバイオマス生産が向上に特徴的な遺伝子発現を継続的に観察・解析できる。現在、生育初期段階で生育強勢個体を識別する方法を検討している。 また、mPing挿入により下流の遺伝子発現のストレス応答性の改変をストレス耐性育種に繋げるためには、遺伝子毎にmPing挿入位置との関連の詳細な調査が必要と考えられた。現時点では、転写開始点の極近傍(<50bp)へのmPing挿入が新たなストレス応答性獲得に繋がる傾向が認められている。
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Strategy for Future Research Activity |
生育強勢個体が比較的高頻度で分離する細粒突然変異系統を供試する。復帰個体の中では生育強勢個体の方がmPingの新規挿入頻度が高くなる傾向がある。この傾向を利用して、選抜した系統に分離する復帰突然変異個体に対してトランスポゾンディスプレイ法によるmPing新規挿入頻度を調査する。調査の結果、挿入頻度が比較的高い個体を生育強勢個体と見做して継続的に遺伝子発現を解析する。 また、ストレスとして塩、乾燥、低温を選び、銀坊主集団に関してストレス耐性個体を大規模スクリーニングを行う。スクリーニングによって得られた耐性候補個体は全て水田に移植する。候補個体の自殖後代においてストレス耐性が確認できた個体別系統に関しては、mPing挿入箇所の網羅的解析により耐性獲得と連関するmPing挿入の特定を進める。
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