2014 Fiscal Year Annual Research Report
バラ科果樹の休眠および季節的成長制御におけるDAM遺伝子の機能解明
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26252005
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山根 久代 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 講師 (80335306)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田尾 龍太郎 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (10211997)
羽生 剛 愛媛大学, 農学部, 准教授 (60335304)
伴野 潔 信州大学, 農学部, 教授 (80127125)
河井 崇 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (90721134)
高居 恵愛 石川県立大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (70589770)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 果樹 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、ウメ側芽の植物ホルモン内生量の季節変動を調査し、休眠深度との関連性を考察した。その結果、休眠性の異なるウメ2品種において、休眠覚醒に伴いABA内生量が低下し、その代謝物であるファゼイン酸内生量が増加することがわかった。また、オーキシンやサイトカイニンは開花直前に急激な増加がみられたことから、これらの植物ホルモンは休眠覚醒というよりは開花現象と関連があると考えられた。 次に、リンゴより単離したDORMANCY-ASSOCIATED MADS-box(DAM)遺伝子の季節変動を調査した。リンゴゲノムを用いた系統解析より、リンゴには4つのDAM遺伝子が存在し、いずれも休眠から萌芽にかけて発現が低下することを明らかにした。また、そのうちの1つのDAM遺伝子は休眠期である11月から休眠覚醒期である1月にかけて大幅に発現が低下しており、休眠覚醒との関連性が示唆された。 次いで、ウメF1分離集団を用いた解析を進めた。低温要求性の大小は遺伝的要因に加えて環境要因の影響を受けるが、2カ年の低温要求性調査結果より低温要求性が中程度の有意な正の年次相関が得られたことから、本集団を用いたQTL解析の有効性が示唆された。F1集団96個体よりDNAを抽出し、genotyping-by-sequencingライブラリーを作製した。Illumina HiSeq2500(PE=250)でシークエンスデータを得た後、StacksプログラムでSNPsデータを得た。総マーカー数431個よりJoinMap4.1を用いて最尤マッピング法で連鎖地図を構築したところ、730cMをカバーする8つの連鎖群からなる連鎖地図を構築できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
植物ホルモン解析の結果より、ABA代謝と休眠覚醒との関連性を明らかにでき、また、低温要求性の少ない品種ではABA生合成能が低いことを示唆する結果を得られた。当初の予定以上の成果が得られている。一方、GBS解析に関しては、当初の予定どおりに進まず、翌年繰越課題として実施したが、連鎖地図の構築に成功し、当初の目標をクリアできた。構築した連鎖地図を今後の研究にいかすことで、新たな遺伝的要因の探索につながることが期待される。総じて、順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、本研究の目的であるバラ科果樹におけるDAM遺伝子の機能の一般性や多様性について明らかにするとともに、DAM遺伝子のシグナル伝達機構の解明ならびに新たな遺伝因子の発見をおこなっていく。
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Research Products
(10 results)