2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26252010
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大西 康夫 東京大学, 農学生命科学研究科, 教授 (90292789)
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Project Period (FY) |
2014-06-27 – 2017-03-31
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Keywords | 希少放線菌 / 胞子嚢 / べん毛 / 形態分化 / 遺伝子発現制御 / 転写因子 / mRNA-seq |
Outline of Annual Research Achievements |
希少放線菌Actinoplanes missouriensisは、菌糸状に生育したのち運動性胞子を多数内包する胞子嚢を形成するという極めて複雑な形態分化を行うバクテリアである。本研究の目的は、A. missouriensisの複雑な形態分化を支える分子基盤を解明し、「細胞の休眠と覚醒」や「細胞運動の制御」という生命現象の根源的な課題に新たな知見をもたらすとともに、「微生物学」の新たな研究領域を切り拓くことである。本年度の主要な研究成果を小課題ごとに以下にまとめる。 小課題(1)「胞子嚢・胞子形成に関わる遺伝子群の同定とその発現制御機構の解明」では、胞子嚢内の胞子成熟に関わる多機能性転写活性化因子TcrAの細胞内での結合部位をバイオインフォマティックス的手法により絞り込み、競合的ゲルシフトアッセイにより確認するという手法で、合計42箇所同定した。また、ssgMがA. missouriensisの胞子嚢形成に必須な遺伝子であることを明らかにした。さらに、AMIS_76070が正常な形の胞子嚢の形成に必要であることを明らかにした。小課題(2) 「胞子嚢マトリックスの分子実体の解明とその機能および生産制御機構の解明」では、遺伝子破壊による胞子嚢マトリックスタンパク質の機能解析を継続して行ったが、一遺伝子破壊では表現型は得られなかった。小課題(3)「胞子嚢開裂の分子メカニズムの解明」では、胞子嚢開裂時のdRNAseq解析を行い、胞子嚢開裂時に発現する遺伝子のプロモーター配列を明らかにした。また、昨年度取得した胞子嚢開裂に異常がある変異株の解析より、胞子嚢の開裂に重要な遺伝子を一つ同定した。小課題(4) 「運動性胞子の運動性・走化性および運動停止の分子メカニズムの解明」では、胞子べん毛の回転の停止に必要なタンパク質FtgAが走化性の発揮にも必要であることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
TcrA結合部位の網羅的解析など、当初とは違う手法により研究を進めた課題や、解析が難航して一時ペンディングにした課題もあるが、想定以外の方向に研究が展開できた課題もあり、全体として「おおむね順調に進展している」と自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的に当初計画通りに研究を遂行するが、平成28年度は本研究課題の最終年度であるため、順調に進展している課題に重点をおき、これまでの成果を論文にまとめて投稿することを目指す。
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Research Products
(5 results)