2015 Fiscal Year Annual Research Report
チャネル機能発現における膜上集合・離散動態の新しい機構の解明
Project/Area Number |
26253014
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
老木 成稔 福井大学, 医学部, 教授 (10185176)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
炭竈 享司 福井大学, 医学部, 特命助教 (30579412)
岩本 真幸 福井大学, 医学部, 助教 (40452122)
角野 歩 福井大学, 医学部, 特別研究員 (80717140)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | イオンチャネル / 膜蛋白質 / 集合・離散 / 原子間力顕微鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
チャネル蛋白質は他の膜蛋白質と同様に細胞膜上で動き回っている。私達はチャネルの活性化状態によって集合・離散することを初めて原子間力顕微鏡で明らかにした。この結果は脂質2重膜に再構成されたチャネルで行われたものであり、他の蛋白質の寄与なしに自己集合している。本研究ではこれらの成果をもとに、チャネルの機能状態がどのようにして膜上での集合・離散を引き起こすのか、その分子機構を明らかにすることが目的である。 生体膜と異なり、脂質2重膜に精製したチャネルを再構成するにはチャネルの向きを揃えることが不可欠であるが、これまでに方法が確立していなかった。この方法の確立のために多くの実験を行った。またチャネル集合離散状態によってチャネル機能の差を捉えるためには原子間力顕微鏡で捉えられる事象でなければならず、様々な方法を試みてきた。その中で隣り合うチャネル機能に差があるという結果を得つつある。 チャネル機能発現に集合・離散が関わる未知の局面を明らかにし、チャネル生理機能の新しい調節機構を提案したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
チャネル蛋白質の膜での配向性をそろえる方法がほぼ確立し、原子間力顕微鏡による実験は高速測定も含めさらに精度が上がっている。チャネルが膜とどう相互作用するかという点を明らかにする上で膜リン脂質の組成はきわめて重要である。私達は様々なリン脂質を使ってリポソームを形成し、膜上での集合離散状態を蛍光色素で測定した。その結果、リン脂質の組成だけではなく、膜の相分離・厚さなど膜の物理的特性によって集合離散状態が大きく変化することを明らかにした。 一方、チャネル機能に関しては新しく開発した液滴接触2重膜法によって、膜リン脂質の組成を膜リーフレット毎に変えられることを利用し、チャネル活性へのリン脂質の効果を詳細に検討してきた。さらに現在この方法をさらに発展させる方法を確立し、より効率的な実験が可能となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
チャネルが集合離散したときにどのようなチャネル機能の差が見られるか。これは電気生理学的方法では明らかにすることが難しい。膜に複数個のチャネルが存在するとき、通常すべてのチャネルが同一のゲーティングキネティクスを示すという前提で解析されるからである。これに対して原子間力顕微鏡では個々のチャネルが見えるので、機能状態を明らかにする方法を開発中である。この方法は従来の方法では捉えられないチャネル個々の状態変化を一分子で記録することのできる新しい方法として期待できるものである。
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Research Products
(9 results)
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[Journal Article] pH-dependent promotion of phospholipid flip-flop by the KcsA potassium channel.2016
Author(s)
Nakao, H., Ikeda, K., Iwamoto, M., Shimizu, H., Oiki, S., Ishihara, Y., Nakano, M.
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Journal Title
BBA Biomemb.
Volume: 1848
Pages: 145-150
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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