2015 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトiPS細胞から膵β細胞の分化誘導とその再生医療への応用に向けた基盤技術開発
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26253059
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
粂 昭苑 東京工業大学, 大学院生命理工学研究科, 教授 (70347011)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒木 喜美 熊本大学, 学内共同利用施設等, 教授 (90211705)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 多能性幹細胞 / 膵臓β細胞 / 分化誘導 / 再生医療 |
Outline of Annual Research Achievements |
マウスES細胞を用いた新たな化合物スクリーニングを行なった結果、新たにmycophenolic acid(MPA)を同定した。MPAの分化促進効果は、培養系に混在している神経細胞を減少させるため、神経細胞から分泌されるWnt抑制タンパク質を減少させた結果によるものであることを明らかにした。Wnt シグナルの促進がβ細胞の分化に対して促進効果があることを見出した。 また、前年度に成体膵島の分散培養系を用いた膵β細胞の増殖促進作用を示す化合物を得たが、その作用は、膵β細胞の増殖を促進すると共に、膵β細胞死を抑制する作用を持っていることを明らかにした。また、膵β細胞の分散培養系において、インスリンを発現しない細胞が増えているため、β細胞の脱分化が疑われた。それを測定するために、インスリンプロモーター下にCreリコンビナーゼを発現するマウスと、ROSA-loxP STOP loxP-eYFP が挿入されているマウスと交配させたマウスを用いて、一旦インスリンを発現したβ細胞がeYFPで恒久的に標識されるようにした。この培養系において、eYFP陽性細胞においてインスリン陰性細胞は脱分化したβ細胞として同定できる。膵β細胞の分散培養系において、長く培養することにより膵β細胞の脱分化が起きることを見出した。今回見つけた膵β細胞の増殖を促進する化合物と一緒に培養することにより、膵β細胞の脱分化が抑制された。VMAT2遺伝子強制発現や遺伝子ノックアウト解析については、順調に進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
マウス成体膵島を用いた評価系により、得られた化合物が膵β細胞の脱分化を抑制できる、という予想しなかった効果が得られた。この結果より、モノアミンが膵島β細胞の分化維持に重要な機能を持っていることが考えられた。膵島の恒常性維持のメカニズムの解明に迫ることが期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒトiPS細胞の分化誘導において、今年度は立体培養法を確立した。メチオニン除去培地を用いた結果、大幅な分化促進を図ることが出来た。今後は、得られたβ細胞の機能について解析を進め、ヒト正常膵β細胞との比較解析を行う。一方、糖尿病モデルマウスに対する治療効果についても検討を進める。
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Research Products
(19 results)