2015 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト免疫系の制御機構解明を目指した小児免疫不全症の分子病態研究
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26253063
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
安友 康二 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部, 教授 (30333511)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 免疫不全 / 遺伝解析 / 遺伝子改変マウス / ウイルス感染 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、家族性免疫不全症の原因遺伝子を連鎖解析および超高速DNAシークエンサーを用いたエクソーム解析により同定し、ヒト免疫疾患の発症に寄与する分子ネットワークおよびヒト免疫系の恒常性を維持する分子機構を明らかにすることを目標とした。まず、特定の微生物にのみ免疫応答ができない免疫不全症の家系おけるゲノム解析を実施した。本家系構造から、この症候群は常染色体優性遺伝形式で発症していると考えられる。そこで、連鎖解析とエクソーム解析を実施しすることで候補遺伝子を見いだすことを試みた。平成26年度に実施した遺伝解析の結果、6種類の遺伝子が候補としてあげられた。(1) 今年度はまず、それぞれの候補遺伝子の生体内における発現パターンを観察した。いずれもが、リンパ球に限局した発現パターンを示す遺伝子はなく、遺伝子発現だけでは候補を絞り込むことは出来ないと考えられた。(2) 6種類の内、5種類の遺伝子については同変異を持つ遺伝子改変マウスをCRISPR/Cas9の系を用いて樹立することを試みた。平成27年度末には4種類のマウスについてはその樹立に成功した。残りの1種類については28年度の初めには樹立することができる予定である。(3) 樹立したマウスについて、TLRをはじめとする免疫シグナルの変化を解析するための各種予備実験を実施した。その予備実験で得た系を用いて、5種類のマウスについての免疫応答を平成28年度から行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究により、特定のウイルスに感染感受性を持つ遺伝性免疫疾患のゲノム解析を行い、そこから候補遺伝子を絞り込むことに成功した。平成27年度には原因遺伝子を同定するために、同変異を持つ遺伝子改変マウスの樹立にも成功しており、当初の予定に沿った研究が進展している。また、今後の研究に必要な実験の予備実験も終了しており、今後の研究の準備も計画に沿って行うことが出来ている。
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Strategy for Future Research Activity |
従来の計画に沿って、候補変異遺伝子を持つマウスの解析を行うとともに、未だ樹立していない一種類のマウスについては平成28年度に樹立する。これらのマウスを用いて、原因遺伝子を同定して、免疫不全が誘導される分子機構をマウスを用いて明らかにする。また、原因遺伝子の機能については、生化学的アプローチを用いて結合分子の同定、発現の解析などを行う予定である。
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Research Products
(1 results)