2014 Fiscal Year Annual Research Report
皮膚自己免疫疾患発症に関する末梢免疫寛容機構の解明
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26253065
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
天谷 雅行 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (90212563)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山上 淳 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (80327618)
高橋 勇人 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (40398615)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 自己免疫 / 免疫寛容 / 天疱瘡 / マウスモデル / デスモグレイン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では天疱瘡自己抗原であるデスモグレイン3(Dsg3)に対する末梢免疫寛容機構を解明し、自己反応性T細胞除去、不活化に関わる重要な細胞集団、あるいは分子を同定することを目的としている。本年度は我々が独自に開発したDsg3特異的T細胞受容体トランスジェニックマウスを利用して、Dsg3特異的な末梢免疫寛容機構の存在を同定することを試みた。胸腺組織を欠くヌードマウスへの胸腺移植を施すことにより、胸腺でDsg3による選択を受けずに分化したDsg3特異的T細胞をDsg3が存在する末梢組織で観察した。その結果、脾臓、皮膚所属リンパ節でDsg3特異的T細胞の割合は優位に減少していた。またDsg3特異的T細胞を野生型マウスに移入する、より簡便なシステムにおいても、同様の現象が確認され、Dsg3特異的な抹消免疫寛容機構が存在することが示された。一方、抹消免疫寛容に関与するとされる胸腺外Aire発現細胞(eTAC)の皮膚所属リンパ節での解析を試みたが、eTACが皮膚所属リンパ節に存在する確証を得ることはできなかった。この結果は、Dsg3特異的抹消免疫寛容においてeTACが重要でないことを支持する。本年度の我々の研究成果により、皮膚自己抗原特異的T細胞に対する抹消免疫寛容の存在を明らかにし、初めて抗原特異的な細胞の挙動として観察できる系を確立することができた。来年度以降は、この実験系を用いて、寛容機構のより詳細な仕組みについて検討をしていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた通りに、Dsg3特異的抹消免疫寛容の存在を、Dsg3特異的T細胞受容体トランスジェニックマウスを利用し、複数の方法を用いて明らかにすることができた。またeTACについての解析は、少なくとも我々の系において、eTACの皮膚所属リンパ節における重要性の低さを示唆するものである。研究計画にあるように免疫寛容に関与する細胞としてeTAC以外の多種類の細胞集団を解析予定としており、今年度の解析結果が我々の研究計画に与える影響はほとんどないばかりか、責任細胞集団を絞り込む上で、重要なステップであると考える。以上の理由から上記のように達成度を自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画は予定どおり遂行しており、大きく研究計画を変更する予定はない。効率よく研究を遂行できるように努める予定である。
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Research Products
(5 results)