2016 Fiscal Year Annual Research Report
顎成長の調和の破綻を来すバイオメカニズムのゲノム・フェノム統合解析
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26253093
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
森山 啓司 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (20262206)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 起穂 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (20596233)
稲澤 譲治 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (30193551)
小川 卓也 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 講師 (50401360)
東堀 紀尚 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (50585221)
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Project Period (FY) |
2014-06-27 – 2018-03-31
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Keywords | 歯学 / 下顎後退症 / エピゲノム |
Outline of Annual Research Achievements |
頭蓋顎顔面領域の成長発育はゲノム・エピゲノム要因、周囲組織・全身からの相互作用、外的刺激などの環境因子が複雑に影響しあう事で成立する。下顎後退症は先天的・後天的な下顎骨の形成・成長不全の結果生じる顎顔面形態の一様相であるが、発症機序は不明な点が多く、成長終了後に生じる下顎頭の吸収によって後天的に下顎後退症を呈する場合もある。そこで本研究は、下顎後退症患者のゲノム情報と臨床情報、モデル動物解析を基に、遺伝子発現のエピジェネティック制御機構の関与を解析し、疾患特異的なmiRNAの同定やシグナル伝達機構の解明を目的としている。 我々は、複数の環境因子を同時に作用させ、後天的に下顎頭の吸収が生じるモデルマウスを作成した。このマウスではマイクロCTによる骨構造解析では海綿骨量の減少を呈し、下顎頭の構造維持には複数の環境因子の交絡が大きく影響する事が示唆された。また頭蓋縫合早期癒合症および中顔面の劣成長を呈するアペール症候群モデルマウスにおいて、発生中の頭蓋冠縫合部におけるmiRNAの発現を検討した所、500種類以上のmiRNAが発現する事が明らかとなり、何らかの制御機能を果たす可能性が示唆された。また当分野では、頭蓋顎顔面領域関連疾患リソースの整備のためデータベースを構築している。下顎後退症患者からバイオリソース(血清ならびにDNA)の採得を行うとともに、臨床情報の採得を行い、疾患リソースの蓄積を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、下顎頭吸収の新規モデルマウスの作成を行い、解析を行った。現在、マイクロCTを用いた骨構造解析および組織化学的解析を行っている。さらに、神経堤細胞由来細胞特異的にエピジェネティックな因子であるヒストンメチル化酵素のSETDB1をノックアウトしたマウスの頭蓋顎顔面における表現型に関する報告を、海外学術雑誌に発表する事ができた。また、下顎後退症患者を含む顎変形症患者における臨床情報の分析について、外科的矯正治療と硬軟組織変化を解析し、その内容を各種学会で発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、下顎頭吸収のモデルマウスからの骨組織を採取し、遺伝子発現、エピジェネティック制御機構ならびにシグナル伝達様式の変化を検討する予定である。引き続きバイオリソースの蓄積を行い、ゲノム情報の解析を開始する。下顎後退症患者を対象にアンケート調査を開始し、患者背景ならびに矯正歯科治療に対する主観的評価を数値化し分析する。
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Research Products
(27 results)