2018 Fiscal Year Annual Research Report
Interdisciplinary research on the transition of funerary customs of the Ancient Egyptian Civilization and its social background
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26257010
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Research Institution | Higashi Nippon International University |
Principal Investigator |
吉村 作治 東日本国際大学, 経済経営学部, 学長 (80201052)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 二郎 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (70186849)
馬場 悠男 独立行政法人国立科学博物館, その他部局等, 名誉研究員 (90049221)
中井 泉 東京理科大学, 理学部第一部応用化学科, 教授 (90155648)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 古代エジプト / 考古学 / 葬制 / 中王国時代 / 新王国時代 / 宗教 / メンフィス・ネクロポリス / 信仰 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は古代エジプト文明の転換期である中王国時代から新王国時代にかけての葬制の変遷過程とその社会的背景を、物質的資料を対象にした学際的な研究を通じて解明することである。最終年度に当たる平成30年度では、資料の取得・整理のための現地調査と、これまでの調査・研究で得られた成果の総括を実施した。 ダハシュール北遺跡の発掘調査を継続して行い、中王国、新王国の両時代の墓が発見された。特筆すべきは本遺跡の中王国時代の墓で最大となる158号墓であり、盗掘を受けていたものの、良質のファイアンス製小像群やミニチュア石製容器、青銅製品を含む副葬品群がまとまって出土した。墓に残る痕跡から埋葬には石棺が使用されていたと推測されるが、実物は確認されず、再利用目的ですでに持ち去られていた可能性が考えられる。墓の規模、石棺や副葬品群の内容は過去の本遺跡の被葬者よりも明らかに高位の人物に属するものであり、本遺跡の位置付けに再考を促す結果となった。 本研究の総括として強調されるのは、葬制に見られる変化の社会的背景として、当時の宗教観の変化が指摘できる点である。中王国時代から新王国時代にかけては、王を介さない人と神との直接的な交流である「個人的信仰(Personal Piety)」が育まれていたと考えられている。ダハシュール北遺跡の中王国時代後期に年代づけられる埋葬の分析から、人々が死後に冥界の神オシリスになるという他界観が浸透していただけでなく、それを埋葬で表現することが幅広い階層で許容されていた可能性が指摘された。新王国時代の埋葬の物質文化においても、この傾向を端緒とする変化が認められる結果となった。葬制に見られる変化には神と人々との関係における構造的な変容が介在している可能性があり、今後この点について深く掘り下げて研究を進めていく必要があると考えられる。
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Research Progress Status |
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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