2014 Fiscal Year Annual Research Report
外部リスクに対応した事業継続マネジメント(BCM)の国際比較研究
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26257102
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
長平 彰夫 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10323122)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 修一 立命館大学, テクノロジー・マネジメント研究科, 教授 (00326539)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 事業継続マネジメント(BCM) / 事業継続計画(BCP) / 外部リスク / グローバリゼーション / 自動車部品産業 / FFE(Fuzzy Front End) / 新製品開発 / サプライチェーン |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)先行文献分析:北米、欧州のBCMおよびBCPに関する先行研究論文254編についてレビューを行った。また、先行研究調査を北米、欧州にとどまらず、中国、東南アジアの研究者たちにも拡げて実施した。 (2) 外部リスク発生可能性・影響評価シミュレーションモデルの構築:2012年に長平らが作成した外部リスク発生確率・影響評価シミュレーションモデルを修正して、(ⅰ) 原発からの距離について、20km未満をHIGHリスク、20-30km未満をMIDIUMリスク、30km以上をLOWリスクと設定。(ⅱ)耐震強度について、耐震強度と、震度予測分布図を比較して設定を行った。(ⅲ) 洪水影響、土砂災害について、公表されている洪水ハザードマップおよび土砂災害ハザードマップを参考に設定した。以上の設定変更を行い、復旧までの自社保有在庫から部品現物在庫及び部品輸送途上在庫の合計を差し引いた自社必要在庫量の算定モデルの構築を行った。 (3)海外現地事例調査及び大規模アンケート調査項目の作成:2014年9月3日(水)から15日(月)にかけてドイツハンブルク工科大学Herstatt教授、Buse 教授、ケンブリッジ大学のDavid Probert教授らとともにBCM研究の基礎理論に係る欧州自動車業界関係の現地事例調査および文献調査を行い、多くの先行研究を入手するとともにアンケート調査項目の内容について多くの示唆を得た。また、大規模アンケート調査項目に関する素案内容として、(1) 回答企業のBCPの具体的内容、(2) 部品調達リスク対策、(3)サプライチェーンとの連携、(4) 回答企業生産工場立地場所における自然災害リスク、(5) 生産工場の建物の状況(耐震、対風水害、津波、火山、竜巻、雪害、寒波、落雷、熱波対策など)、(6) 回答企業工場が被災した場合の、復旧までに必要な期間、(7)回答企業のBIA分析、を盛り込むこととした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度の研究計画として予定していた、 (1)先行文献分析 (2) 外部リスク発生可能性・影響評価シミュレーションモデルの構築 (3)海外現地事例調査及び大規模アンケート調査項目の作成 がほぼ当初計画どおりの成果を上げ、平成27年度の大規模アンケート調査の実施が可能となる見込みがたったことから、おおむね順調に推移していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、次の分担で、各項目について研究を実施する。 (1)先行文献調査・分析(長平、石田、中村、岡部、石原、横山、Mammetseyidov、 Montshiwa)北米、欧州にとどまらず、中国、東南アジアにも研究を拡げて、基礎理論に依拠しながら、BCM理論の新たな体系化を試みる。 (2) リスクランクに基づく必要在庫量の積算の有効性の検証(長平、中村、石原)平成26年度に構築したシミュレーションモデルを使用してリスクランクに基づく必要在庫量の積算の有効性に関して事例を用いて検証する。具体的には、自然災害リスク(地震、風水害など)の発生頻度、原発、大規模化学工場からの距離、を勘案して、5段階でのリスク発生確率を算出し、必要在庫量が、このリスクランクに基づいてどの程度低減されるかを積算し、モデルの有効性を検証する。 (3)海外現地文献調査、事例調査(長平、石田、中村、石原、横山)北米(中村、石田)、欧州(長平、石原、横山)、タイ(長平)、中国(長平)での文献調査および事例調査を実施する。具体的には、自動車部品が立地している北米、欧州(ドイツ、スウェーデンおよびその関連部品産業が立地しているチェコ、ハンガリー)、タイ(日米欧の自動車関連部品企業立地)、中国上海(日米欧の自動車関連部品企業立地)の大学研究者を訪問するなどして文献等の収集とアンケート調査項目の改善を行う。 (4)大規模アンケート調査の実施及びデータ解析(長平、中村、石原、横山、Montshiwa)分析のフレームワーク及び分析方法を確定する。その後、北米を対象とした大規模アンケート調査を実施する。アンケート調査データは、構造方程式モデリング(SEM)のソフトウェアであるSmartPLS2.0を使用して解析を行う。
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