2014 Fiscal Year Annual Research Report
周極域亜寒帯林の構造変化と気候変動:林分構造復元法による過去約150年間の解析
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26257407
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大澤 晃 京都大学, 地球環境学堂, 教授 (90288647)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安江 恒 信州大学, 農学部, 准教授 (00324236)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 周極域亜寒帯林 / 構造変化 / 気候変動 / 林分構造復元法 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は本研究の初年度であった。計画通り、北欧と北西カナダ地域を訪問し、合計5地域・13林分の毎木調査とともに約90本の樹木個体を伐採または幹コアサンプリングに供し、いろいろな地上高から年輪サンプルを採取した。北欧では、フィンランドのLapland地域にあるヘルシンキ大学Varrio研究林内の欧州アカマツ林2林分、フィンランド中部のKangasvaaraにある国有林でフィンランド森林研究所試験林内の老齢欧州アカマツ・ドイツトウヒ混交林2林分、エストニア西部海岸地域の欧州アカマツ林6林分、カナダ北極域のInuvikのマリアナトウヒ林1林分、およびカナダ北西準州Fort Providence地域のバンクスマツ林2林分を対象とした。 それぞれの調査地から集められた年輪サンプルは京都大学に集積され、現在解析が進んでいる。また一部のサンプルは、研究分担者である信州大学農学部の安江准教授の研究室において解析を始めている。すでに京都大学の修士課程学生が修士論文研究としてカナダの年輪サンプルの解析を進めている。また、諸般の都合で遅れていた本研究に専念するポスドク研究員が26年度中に決定し、(科研費による雇用前ではあったが)27年3月にはエストニアにおける予備調査と研究打ち合わせに参加した。修士課程学生とともに、カナダとエストニア・サンプルの解析を共同で進めていく計画である。 また、27年度夏に行う予定のシベリア野外調査に備えて、26年12月に共同研究者のいるロシア・クラスノヤルスクを訪問し、共同野外調査に関する打ち合わせを行った。最近、外国人研究者のロシア国内での調査申請手続きがより複雑になり調査実現までのハードルがかなり高いことが明らかになった。27年度夏の調査を実現すべく、現在もロシア側との交渉を粛々と進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画した北欧とカナダ北西地域の野外調査を初年度に計画通り実行することができ、ほぼ予定通りのサンプルとデータの収集に成功した。これらサンプルの解析も順調に進んでいる。また、27年度の野外調査のための準備も着々と進んでいる。ポスドク雇用が実現し、今後解析が急ピッチで進むと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究は順調に進んでいる。27年度は主としてシベリアでの野外調査を実現し、まだサンプルの集積が進んでいないこの地域でのサンプリングとサンプル解析を推進する計画である。また、補助的解析としてアラスカ内陸地域から集めたサンプルの解析も視野に入れているが、こちらは連携研究者の松浦氏(森林総合研究所)が集積した年輪サンプルの解析を研究分担者の安江がほぼ完了し、現在そのデータ解析を松浦が進めている。結果を5月にフィンランドで開催されるInternational Boreal Forest Research (IBFRA) Organizations International Workshopで発表の予定である。北欧とカナダ北西部においても必要に応じて補助的な年輪サンプリングを行う計画を立てている。本研究で使用している林分構造復元法の改良も行っており、大澤がフィンランドでのIBFRA Workshopで発表するとともに、修士課程学生、ポスドク研究員とともにその内容の論文執筆を進めている。
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