2015 Fiscal Year Annual Research Report
熱帯作物の謎を解く -環境ストレス耐性への共生微生物寄与の解明
Project/Area Number |
26257418
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
縄田 栄治 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (30144348)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒木 茂 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 教授 (00158734)
白岩 立彦 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (30154363)
間藤 徹 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (50157393)
竹内 祐子 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (80452283)
遠藤 力也 国立研究開発法人理化学研究所, その他部局等, 研究員 (90634494)
岡 三徳 愛媛大学, 農学部, 教授 (10354028)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 熱帯作物 / 環境ストレス / 共生微生物 / 東南アジア / 熱帯アフリカ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、有用微生物との共生が、サトウキビ・キャッサバの環境ストレス耐性の鍵を握ると考え、貧栄養で保水力の乏しい土壌の卓越する熱帯アジアと熱帯アフリカにおいて、圃場実験と農家圃場での調査を組み合わせて、環境ストレス耐性への共生微生物の寄与の有無を解明し、両作物の生産性向上にめざすことを目的として実施している。今年度の実績は以下の通り。 1.微生物相の解明 キャッサバについては、タイ・コンケン大学試験圃場において、3品種を用いて菌相の解析を行った。まだ、真菌の解析は進行中であるが、細菌の解析結果から、菌相が多様かつ品種特異的であること、一方で共通に見られる菌種が存在すること等が明らかになった。今後、細菌の解析結果を待ち、環境ストレス耐性の品種・系統と、標準的な品種・系統との内生菌相の比較解析を行う。 2.貧栄養耐性における共生微生物の役割の解明 サトウキビについて、タイ・、コンケン大学周辺の農家で植物体をサンプリングし、N15 同位体比法によって、植物体内窒素における空中窒素の寄与率を実測した。雨季の測定の結果、対照の雑草との差異がなく、手法の再考を迫られる結果となった。今後、乾季のサンプリング個体について、分析を実施する。また、アーバスキュラ菌根菌とキャッサバ根との共生関係に及ぼす施肥・耕起の有無の影響を、カメルーンの2試験地(南部、東部)で検証した。その結果、根の菌根菌感染率は平均で、東部では35%、南部では45%を示した。両試験地で施肥・耕起は、菌根菌の感染率を減少させた。さらに、キャッサバ菌根菌の同定を行った。 3.耐暑性、耐乾性における内生菌の役割の解明 キャッサバの無菌個体作出の組織培養系の確立が遅れ、来年度以降に実施することとした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
どの小課題も、多少の遅滞はあるものの、概ね、順調に進んでいる。但し、キャッサバ無菌個体作出の組織培養系の確立が遅れているため、来年度以降、この点にも注力する。また、タイでの共同研究機関は、当面、コンケン大学とすることとした。さらに、カメルーンでの共同研究は、分担研究者の退職により、一旦、中断することとした。
|
Strategy for Future Research Activity |
予定通り、下記により、研究を進める。 1.微生物相の解明 供試材料となるサトウキビ・キャッサバの品種・系統を海外共同研究機関(タイ:コンケン大学)を通じて入手し、内生菌相及び外生菌根菌の解析に供する。内生菌相の解析は、非培養法と培養法を併用する。得られた結果から、環境ストレス耐性の品種・系統と、標準的な品種・系統との内生菌相の比較解析を行う。 2.貧栄養耐性における共生微生物の役割の解明 サトウキビについては、タイ・コンケン大学周辺の農家を選定し、生長をモニタリングすると同時に、植物体と土壌をサンプリングし、N15 同位体比法によって、植物体内窒素における空中窒素の寄与率を実測する。収量を測定し、窒素肥料施与量、土壌窒素動態と合わせて窒素収支を計算し、空中窒素寄与率に関する分析結果を確認する。内生窒素固定菌活性が高いと思われる圃場のサトウキビ個体について、内生菌を同定する。キャッサバについては、サトウキビ同様の試験を、タイ・カメルーンで進める。 3.耐暑性、耐乾性における内生菌の役割の解明 キャッサバを中心に実施する。耐暑性については、日本国内で、制御温室を用いた実験を実施する。タイで最も標準的に栽培されている品種を2 品種を用い、高温及び対照の二種の温度条件を設定し、定期的に微生物相を検出し、温度条件の影響を分析する。耐乾性については、標準的な数品種を選び、コンケン大学内の実験圃場で、乾季に通常条件と断水条件を設定した栽培実験の実施準備を進める
|
Research Products
(8 results)