2015 Fiscal Year Annual Research Report
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26280001
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
牧野 和久 京都大学, 数理解析研究所, 准教授 (60294162)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 利昌 北海道大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (30324487)
高澤 兼二郎 京都大学, 数理解析研究所, 助教 (10583859)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 正モジュラ / 固定パラメータ容易 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年,情報科学分野ばかりでなく,工学,化学,医学など多様な分野で列挙アルゴリズムが広く用いられており,ビッグデータ時代における基盤技術としてその重要性が認識されている.本研究では,様々な問題に潜む汎用的な列挙構造を抽出・解析し,劣モジュラ解 析などの離散最適化の手法と融合させることにより,列挙問題ばかりでなく,探索問題や最適化問題などに対する実用的でかつ品質保証された高速なアルゴリズムの開発を行う.また,これらを通してアルゴリズム理論における新しい潮流の創造を目指す. 本研究の二年度目として,これまで高速な列挙アルゴリズムのための方法論と指数時間ア ルゴリズムパラダイムにおいて用いられている列挙的技法の調査,分類を行うとともに,それらの手法を用いたアルゴリズム開発を目的とした. 初年度に得られた正モジュラ関数における最適化問題に対する成果を拡張することで計算量的上界下界を与えることに成功した(FIT2015 船井ベストペーパー賞受賞).それ以外にも,グラフのベクトル支配集合問題の最大化問題を考察して,平面グラフの場合,準指数固定パラメータ容易であることを示した.また,ナップサック問題に関するロバスト最適化の乱択手法を取り扱った.乱択手法によって得られるロバスト比の上界を示し,それをほぼ達成する乱択手法を設計した.本手法は,決定論的手法による既存のロバスト比を大幅に改善している.さらに,本手法の一般の独立システムへの拡張を行なった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
正モジュラ関数における最適化問題に対して計算量的上界下界を与えることに成功した.この成果は,離散最適化分野における基礎的な正モジュラ性に関するもので,FIT 2015 船井ベストペーパー賞を受賞したことからも分かるように大変意義深い.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度もモジュラ関数の解析をさらに発展させることを主目的とする. また,高速な列挙アルゴリズムのための手法と指数時間アルゴリズムパラダイムにおいて用いられている列挙的技法の融合をはかることにより固定パラメータ容易性などの尺度の下で効率的なアルゴリズムの開発を目指す. その際,構造検証などのプログラムを作り,計算機を用いても検証する.また,実データやランダムデータを用いて,大規模にかつ系統立つ検証を行うことにより(計算機,謝金:研究補助),新しい構造の発見も試みる.これらにより,正モジュラ関数ばかりでなく他の重要な構造を利用したアルゴリズム開発を目指す.
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Causes of Carryover |
今年度得られた正モジュラ関数に対する成果などを国内外に広く発表する,また, 得られた成果などを国内外の専門家の意見を聞き,さらに発展するための出張旅費が必要であるため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
海外での発表また研究打ち合わせ旅費3回程度,また,国内での発表および研究打ち合わせ旅費(10回程度)
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