2015 Fiscal Year Annual Research Report
不揮発性メインメモリのオペレーティングシステムサポート
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26280018
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
追川 修一 筑波大学, システム情報系, 准教授 (00271271)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ソフトウェア / オペレーティングシステム / 不揮発性メモリ |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、統合ファイルシステムの機構および高速ファイルアクセス手法の研究開発を、不揮発性メインメモリの汎用化を含めたかたちで取り組んだ。統合ファイルシステムの機構は、メインメモリを割り当てるための仮想メモリ機構とファイルへデータブロックを割り当てるためのファイルシステム機構を統合し、ファイルシステムにおいて一元管理するものである。不揮発性メインメモリをストレージとして用いる場合、ファイルシステムが管理するのが自然である。この場合、仮想メモリ機構が不揮発性メインメモリからのメモリ割り当てを行う場合、ファイルシステムにメモリ割り当て要求を出すことになる。 不揮発性メインメモリはストレージとして利用可能であるが、従来型のブロックストレージと比較すると容量に制限があることが問題となる。不揮発性メインメモリの汎用化は、その問題点を解消するため、ブロックストレージを透過的に使用し、不揮発性メインメモリの容量を拡張するものである。平成27年度は、デバイスドライバにより不揮発性メインメモリを汎用化する手法について研究を行った。デバイスドライバは不揮発性メインメモリのインタフェースを提供し、ブロックストレージの存在を隠蔽することで、メモリストレージとして機能させることができる。そして、メモリストレージとして機能させることで、ブロックストレージアクセスに起因するオーバヘッドを削減することができるため、高速なファイルアクセスを実現した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度に計画した、不揮発性メインメモリの汎用化を含めたかたちでの統合ファイルシステムの機構および高速ファイルアクセス手法の実現は、計画通りの研究開発を実施した。どちらも、Linuxカーネルに開発した機構を実装し、実験を行った。研究成果はLinuxカーネルに実現されているため、シミュレーションではなく、実際のアプリケーションを動作させた実験が可能である。実験の結果、不揮発性メインメモリの汎用化により、ブロックストレージを透過的に使用しても、ブロックストレージアクセスに起因するオーバヘッドを削減することができることを示した。この成果について、論文誌1件、国際会議4件の発表を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、不揮発性メインメモリの汎用化のファイルシステムレイヤでの実現に取り組む。平成27年度では、不揮発性メインメモリの汎用化をデバイスドライバにおいて実現した。メモリストレージを扱うデバイスドライバであっても、ファイルシステムはデバイスドライバに対しアクセスするブロック情報のみ提供する。ブロックストレージを透過的に使用する場合、アクセスするデータを効率よくメモリストレージ、本研究の場合は不揮発性メインメモリ、上に配置する必要がある。そのためには、ファイルアクセスの情報が必要となり、その情報をデバイスドライバに伝えるためにはインタフェースが煩雑化してしまう。 そこで、不揮発性メインメモリの汎用化をファイルシステムレイヤで実現することで、この煩雑化を回避することができる。この場合、ファイルシステムレイヤが不揮発性メインメモリを直接管理することになる。このファイルシステムによる管理を、特定のファイルシステムに依存しないかたちで実現する。
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Causes of Carryover |
PCI-Express SSDストレージはインタフェースの形態によっては購入可能となったものの、購入を予定していたインタフェースについては出荷が遅れている。開発に支障を来さないようにするため、購入可能なPCI-Express SSDストレージを一部導入したが、残りの購入費用を平成28年度に繰り越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度には、実験に必要なPCI-Express SSDストレージを購入する。また、実用性を高めるため、検討すべきアプリケーションの実行環境に合致した機材を購入する。さらに、研究成果の発表および情報収集のために国際会議に参加する必要があり、そのための旅費および参加費として使用する。
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