2015 Fiscal Year Annual Research Report
光と無線の連携協調による次世代省エネルギー型ネットワークの創出
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26280026
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
加藤 寧 東北大学, 情報科学研究科, 教授 (00236168)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 光通信 / 無線通信 / 省エネルギー / プロトコル / ネットワーク融合 |
Outline of Annual Research Achievements |
超高速大容量かつユビキタスな通信を実現する次世代ネットワークの有力な選択肢として、光回線網と高速無線アクセス網を接続したFiWi(Fiber Wireless)ネットワークが世界的に注目を集めている。FiWiネットワークでは、光と無線の有機的な連携により、現在の通信技術で難しいとされているネットワークの省エネルギー化が実現可能である。しかしながら、光と無線ネットワークの融合体における高度な連携技術および省電力化技術に関する議論は始まったばかりであり、通信事業者はもちろん学術研究機関においても十分な技術検討がなされていないのが現状である。そこで本研究では、両者の高度な連携制御を可能にする技術を開発することにより、次世代省エネルギー型ネットワークの創出を目指す。 スリープ制御技術、経路制御技術、リソース割当技術の開発を行う本研究では、(A)ネットワークの特徴を最大限利用すること、(B)複数のネットワークを統合した1つの融合体として機能されること、の2点を念頭において研究を進める必要がある。そこで、研究の第1段階では、各種ネットワークを独立に考えた場合に(A)を実現するためのベースとなる技術の開発を行う。第2段階では、(B)を念頭に3つのコア技術をお互いに連携協調させるための技術の開発を行う。そして第3段階では開発した技術のプロトタイプを実装し、検証実験により実機での有効性を確認する。本研究では、モデル化と理論検討、アルゴリズムの考案とプロトコルの設計、計算機によるシミュレーションベースの性能評価という一連のサイクルを繰り返し行う。本年度は、それぞれのネットワークの特徴を最大限に利用することによってネットワークの最適化を行った。特に、スリープ制御とネットワークリソース割当の基礎技術を開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、当初の計画通り、スリープ制御とネットワークリソース割当の基礎技術を開発することによってネットワークの最適化を行った。本研究はおおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、コア技術をお互いに連携強調させるための技術、また各ネットワークの特性に基づいた経路制御技術を開発する。連携制御を実現するためには、ネットワーク全体での情報交換を可能にする連携制御機構が必要となる。連携制御機構には、ネットワークを構成する各ノードの情報を送受信する機能に加え、特定のノードに対してネットワークリソース割当やスリープ制御、経路制御に関する要求等を伝達する機能を組み込む。これにより、ネットワーク間の情報共有と連携動作を可能にする仕組みを提供することが可能となる。さらに、スリープ選択、リソース割当、経路選択を統合して処理するアルゴリズムが必要になる。アルゴリズムによって解くべき問題は、その時々のネットワーク状態において各ユーザのサービス品質を保証しつつ、ネットワーク全体の消費電力を最小化する最適化問題であるが、この問題をネットワーク全体で解くのか、部分的に分散して解くのかが最大の課題となり得る。そこで、最適化問題を解く適切なアルゴリズムについて検討する。 考案した技術の性能評価は主にネットワークシミュレータを用いた実験によって行うが、想定すべきネットワークの種類や考慮すべきパラメータの数が多いため、シミュレーションの量が増えることは間違いない。したがって、考案したアルゴリズムやプロトコルをネットワークシミュレータに実装する作業、並びに実験データの整理・管理作業に関して、申請者の研究室所属の大学院生を動員する予定である。
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Causes of Carryover |
研究代表者の所属機関が保有する計算機では、シミュレーションに必要な性能を満足できないため。また、実験によって得られた成果を発表することを検討しているため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
性能評価のためのシミュレーションを行う計算機の機能拡張のための計算機部品に使用予定である。また、成果発表に必要な費用として使用予定である。
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Research Products
(2 results)