2014 Fiscal Year Annual Research Report
社会規模での大規模コーパス収集による映像検索エンジンの再構築
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26280040
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
上原 邦昭 神戸大学, システム情報学研究科, 教授 (60160206)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 機械学習 / 情報検索 / 映像データ / コーパス / 映像検索 |
Outline of Annual Research Achievements |
映像にタグ付けを行える際,何種類もの物体に関して,全ての映像に人手でアノテーションすることは非現実的である.そこで,能動学習に基づいて,物体認識の精度向上に有用な映像を取捨選択しながら,効率的に物体認識の精度を向上させるようにしているが,完全な認識モデルの構築は不可能である.そのため,このような不確実な(エラーを含む)認識モデルを用いて映像検索を行うと,多数の誤検索や検索漏れが発生する.本研究では,認識モデルの不確実性を考慮して,検索対象の映像がクエリに適合するか否か推論する映像検索エンジンを開発することを目標としている. 本年度は,各物体の認識モデルの評価値に対して,物体が出現している映像と出現していない映像の密度比を推定し,不確実性を定量化する手法を開発した.本研究では,Dempster-Shafer (DS) 理論という,無知量を表現するための確率論を基礎としている.従来の確率論では,物体が出現しているかどうか分からない無知状態は,2つの確率変数 A(ppearance),D(isappearance) に確率0.5を割り当てて表現することしかできなかった.これに対して,DS理論を用いれば,確率質量関数により無知状態を表す {A,D} という「確率変数の部分集合」にも確率を割り当てて,物体認識の不確実性を詳細に表現できるようになる.具体的には,各物体の認識モデルに対して,無知状態に対する確率,すなわち不確実性を算出する.言い換えると,認識モデルの評価値に対して,物体が出現している映像と出現していない映像の密度の比を推定し,不確実性を定量化する.さらに,不確実性を用いて,各映像に対する認識モデルの評価値の整合性を検証する.そして,認識モデルが誤っている映像と物体(タグ)を特定する.この映像とタグのペアの真偽をユーザに判定してもらようにして,効率的に高精度な認識モデルを構築できることを示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度に行った研究は既にMultimedia Data Mining and Analyticsという書籍の中の12章として出版されている。本章は、近年のMultimedia Data Mining関係の研究者の中で際立った成果を挙げた研究者として招聘されて執筆したものである。したがって、世界的にも研究が認められつつあることを示している。このほかにも2件の海外雑誌、2件の国際会議発表と十分な実績であると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に定量化された不確実性を導入して最尤推定を行い,認識モデルの評価値の整合性を検証し,不確実な物体認識の結果から,認識モデルの精度を最も向上させる見込みのある映像と物体を特定する手法を開発する.DS理論の問題点の一つとして,確率質量関数の定義方法がある.確率質量関数を定義するために,各物体のあらゆる部分集合に対して訓練データを用意することは困難である.このことは,部分集合に含まれる各物体が出現しているかどうかを,全ての訓練データに対してアノテーションすることが事実上不可能であることを意味している.したがって,集合論的解釈による認識モデルの構築方法を変更し,確率質量関数の導出を回避することを検討する.
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Causes of Carryover |
当初予定していた研究分担者が海外に転出したため、連携研究者として研究を進めることにした。そのため、研究分担者に配分する予定だった予算に変動が生じている。また、購入予定だった大型液晶モニターは研究代表者が有するモニターを代用することにしたため繰越が生じている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、新たに研究分担者を追加するため、その研究者に予算を配分する予定である。また、連携研究者とも共同研究を進めているため、研究進捗には問題ない。むしろ、新たに研究分担者を追加したため、計画以上の成果が得られるものと期待している。
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Research Products
(5 results)
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[Book] Multimedia Data Mining and Analytics: Disruptive Innovation, Chapter 12, Video Retrieval Based on Uncertain Concept Detection Using Dempster-Shafer Theory2015
Author(s)
Baughman, A., Gao, J., Pan, J.-Y., Petrushin, V.A. (編) Kimiaki Shirahama, Kenji Kumabuchi, Marcin Grzegorzek and Kuniaki Uehara
Total Pages
454 (うち pp.269-294)
Publisher
Springer