2014 Fiscal Year Annual Research Report
ウエットGAの生物学実験データの分析に基づく高度並列型進化計算の実現
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26280095
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
山村 雅幸 東京工業大学, 総合理工学研究科(研究院), 教授 (00220442)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ウェットGA / 進化計算 / タンパク質工学 / 最適化 / 高度並列GA |
Outline of Annual Research Achievements |
生命にアイデアを得た進化計算の応用を通じて培われた探索戦略を、分子上に実装したウェットGAを提案し、タンパク質工学に応用してきた。タンパク質tyrRSの基質改変をテストベッドとして、12世代の理想的な集団分布の推移を実現した。改変されたタンパク質の活性は実用に耐えるレベルに達している。本研究はこれらの成果を踏まえ、スパイラルの次の段階として計算モデルを洗練化する。全世代のtyrRS変異体の遺伝子シーケンスを解読して集団中のエントロピーの推移を計算し、理論との合致を調べる。新しいモデルはネットワークなどを通じて安価に提供されるクラウドなどの並列計算資源に適しており、進化計算の新たな展開を目指した。 これまでにtyrRSの基質改変の適応度地形の特徴をモデル化し、探索が1つの局所解からはじめられる進化計算の効果的な世代交代モデルを提案して、理論設計に従って実際にtyrRSを進化させた。各世代のtyrRS変異体の遺伝子シーケンスを全解読した。各世代の変異の蓄積分布を分析した。また、パラメータ感度の意味でのモデルの正しさを検証するために、tyrRS変異体を再度進化させる追加実験に向けて世代の選択を試みた。さらに、これらの知見を発展させて、並列度の高い計算機アーキテクチャーを前提とした新しい進化計算の理論を考案した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画のうち、全世代のtyrRS変異体の遺伝子シーケンスの全解読は終了し、各世代のエントロピー推移とモデルとの適合を検討した。追加のウェット実験の設計を行った。これらについては当初計画通りである。特にシーケンスの全解読データの解析には注目すべき知見を得、新しい進化計算の理論的基盤を考案したが、論文として公表できる段階までは達しておらず、新しく検証してゆくことが必要である。これらからおおむね順調と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画通り、シーケンスの全解読データの解析に基づく理論的考察を論文として公表し、特定の世代についてモデルパラメータの確認のための追加実験を行う。これらの知見を発展させて列度の高い計算機アーキテクチャーを前提とした新しい進化計算の理論を提案する。
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Causes of Carryover |
最終目標である高度並列GAの実装のために、ウェット実験で得られたデータからデータマイニング手法に基づいて、ウェット実験の適応度関数の近似関数を求めた。その結果、複数の近似関数候補が見つかり、それによって、高度並列GAの実装形態が複数考えられることがわかった。この内容については論文として投稿中である。当初計画では、今年度後半に行動並列GAの実装のための計算機を購入する予定であったが、実装形態に複数の候補があり検討が必要であることから、購入時期を次年度前半に遅らせることとした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
高度並列GAの実装に適した複数CPUからなるPCクラスタ、あるいはGPGPUを複数枚搭載した単一ワークステーションを購入する。どちらの形態がふさわしいかは、ウェット実験の適応度関数の近似関数候補のいずれが最適化を検討して決定する。いずれにせよシミュレーション向け計算機の購入であり、設備品としての価格等は大きく変わらない見込みである。
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Research Products
(1 results)