2014 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロワールドグラフの説明生成機能の拡充に基づく知識構成支援に関する研究
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26280127
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
堀口 知也 神戸大学, 海事科学研究科(研究院), 教授 (00294257)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平嶋 宗 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10238355)
東本 崇仁 東京理科大学, 工学部, 助教 (10508435)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 知的学習支援システム / 科学教育 / 問題演習 / 説明生成 / 知識工学 / 国際情報交換 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者らはこれまでに物理問題をその対象系のモデルに基づいて特徴付ける枠組みである「マイクロワールドグラフ」を提案し,これを用いて学習状況に合わせて問題を適応的に系列化し知識の段階的発展を促す機能を持つ学習支援システムを実現しており,教育現場での試験的利用を通して,それが適切に問題の順序を制御する能力を持つとの知見を得ている. 本研究では,問題系列化が有効に働くための必須条件である問題間の関係を適応的に説明する機能を,関連概念を体系化することによって実現して領域への段階的習熟を支援可能なシステムの構築を目指し,(1)適応的説明の基盤となる概念の体系化,(2)問題間の関係の説明生成機能の実現と既有の問題演習システムへの統合,を進めている.また,システムの有効性を実験的・試験的利用を通して検証・評価すべく,(3)大学生を対象とした実験的利用を通した学習プロセスの分析,(4)中学校における試験的利用による学習効果の測定および有効な運用方法の検討,のための準備を進めている. 平成26年度は,上記の(1)および(2)を実施した.まず,研究代表者らの先行研究において開発した「制約の意味論」を拡充・整備し,その上で問題間関係の説明生成機能を実装し,現システムとの統合を完了した.また,次年度の実験的利用のために試作した教材データを用いて,新たに実装した機能が支障なく動作することを確認した.さらに,実験的利用において必要となる改善点(システムインターフェースなど)の検討を行い,システムの修正・調整を行った.これらの成果により,平成27年度の計画実施へ向けての準備は整ったと言える.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,(1)問題間の関係の説明生成の基盤となる概念の体系化,(2)それに基づく問題間の関係の説明生成機能の実現と既有の問題演習システムへの統合,(3)大学生を対象とした実験的利用を通した学習プロセスの分析,(4)中学校における試験的利用による学習効果の測定および有効な運用方法の検討,を計画している.これらのうち,平成26年度は(1)および(2)の実施を予定していたが,「研究実績の概要」に記載した通り,これらは順調に完了した.加えて,平成27年度に予定している実験的利用のためのシステムの修正・調整,および教材・課題の一部の試作も完了している.これらのことから総合的に判断して,本研究はおおむね順調に進んでいると言うことができる.
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度の成果を基に,平成27年度は(3)大学生を対象とした実験的利用を通した学習プロセスの分析,を実施する.目的は,本システムによる支援が種々の条件下において習熟をどのように促進/阻害するかを,学習プロセスの分析を通して明らかにすることである.特に問題系列化の効果は「類推」と関係が深い.以前の問題で習得した事項を現在の問題へ適用する,問題同士の比較を行うなどの学習行動が頻繁に見られるからである.そこで,特に「類推」を示唆する学習行動の有無やその内容に注目してデータ収集を行う.まず学習中の種々のデータ(システム操作履歴など)を自動記録する機能をシステムに追加する.次に実験用の教材・課題を完成してシステムの動作確認を行う. 実験的利用は,大学初年度の「物理学」の受講者などから被験者を募り,研究室にて個別実験を行う.事前/事後テストにより学習効果を測定すると共に,システムログ,発話思考法,調査紙,インタビュー等によってより詳細なデータを取得する.それらのデータを分析し,学習を促進/阻害する要因や種々の条件との関係,「類推」の有無やその内容(質)などを明らかにする.
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Causes of Carryover |
研究分担者である広島大学・平嶋教授への平成26年度配分額1,200千円のうち,600千円(学術研究助成基金助成金分)を平成27年度に繰り越して使用する.その理由は,当初予定していた国際会議における研究成果発表(平嶋教授および同教授が雇用する大学院生1名が発表予定)を,進捗の若干の遅れにより延期したためである.当該の成果については,現在は遅れを取り戻してすでに完了しており,平成27年度には国際会議において発表できる見込みである.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記の通り,本研究の成果の一部を国際会議において発表するために使用する.すなわち,研究分担者である広島大学・平嶋教授および同教授が雇用する大学院生1名の国際会議参加費用,渡航旅費および宿泊費用として支出する.
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[Presentation] Scaffolding for Self-overcoming of Impasse by Using Problem Simplification2014
Author(s)
Hayashi, N., Shinohara, T., Yamamoto, S., Hayashi, Y., Horiguchi, T. & Hirashima, T.
Organizer
22nd International Conference on Computers in Education
Place of Presentation
Nara Prefectural New Public Hall, Nara, Nara
Year and Date
2014-11-30 – 2014-12-04