2014 Fiscal Year Annual Research Report
プログラム言語に非依存なプログラミング教育環境の構築と評価
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26280129
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
筧 捷彦 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (20062672)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松澤 芳昭 静岡大学, 情報学研究科, 講師 (40517017)
坂本 一憲 国立情報学研究所, 大学共同利用機関等の部局等, 助教 (60609139)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | プログラミング言語 / 多プログラミング言語翻訳 / 抽象構文木 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は多プログラミング言語間の翻訳エンジンを作成することを目的としていた.複数のプログラミング言語に対する解析および変形の処理系であるUNICOENのアーキテクチャを参考に,新たにJUNICOENと名づけた翻訳エンジンの開発に取り組んだ. UNICOENは複数の言語に対してソースコードから共通の抽象構文木を生成する機能を備えているが,生成した抽象構文木を実行する機能を有していなかった.これは,生成した抽象構文木に対する意味付けを行っていなかったためであり,意味を扱わないことが他のプログラミング言語への変換を困難にしていた. 一方,JUNICOENはUNICOENと同様に共通の抽象構文木を生成して,さらに,生成した抽象構文木を実行する機能も有する.すなわち,生成した抽象構文木の意味を解釈するため,解釈に基づいて他のプログラミング言語のソースコードに変換することが可能となった.現状のJUNICOENでは,Java言語とブロック言語の両方を対象として相互の変換を実現しており,加えて,どちらの言語で記述したソースコードも実行できる. 上述のJUNICOENの開発に加えて,JUNICOENに結合予定の教育アプリケーションの研究開発に成功しており,いくつかの国際会議や論文誌等で成果の発表を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画では「平成26年度はUNICOENとOMetaを活用して多言語間システムを開発する」と記載しており,UNICOENとOMetaのそれぞれを検討した結果,UNICOENをベースとして新しいプログラミング言語処理系を開発したほうが良いと考えられたため,JUNICOENという新しい処理系の開発に取り組んだ.その結果,UNICOENとは異なり複数のプログラミング言語に対して共通の抽象構文木を生成した上で,実行することができる機能の開発に成功した.抽象構文木の意味を解釈することで,Java言語とブロック言語の各言語要素間において,意味が同じ言語要素を見出すことが可能となり,その結果,Java言語とブロック言語の間で相互に変換する仕組みの開発に成功した. 以上から,現状では2種類のプログラミング言語には留まっているものの,多プログラミング言語間の翻訳および実行システムの開発に成功しており,研究はおおむね順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は言語翻訳に基づく言語非依存な教育環境及び解析環境の開発基盤の構築を予定しており,具体的には,1) JUNICOEN上の抽象構文木に対してデバッガやメトリクス測定などのモジュールを追加することで,教育用途に適したプログラミングプラットフォームの構築を行うこと,2) Java言語,JavaScript言語,ブロック言語,日本語プログラミング言語の4種類のプログラミング言語に対応すること,3) 学習者が記述したプログラムを分析する仕組みを導入することで,学習プロセスや学習成果の評価を行う基盤を構築する予定である. 上述の仕組みは既に参画する研究者らが成果として有しており,JUNICOEN上の抽象構文木を扱う形で改良を行うことで,1-3)の全ての研究活動を遂行できる予定である.
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Causes of Carryover |
人件費・謝金について,実際に使用した額が交付申請時に記載した額より少ないという結果になった.少なくなった理由として交付申請時はポスドク研究者を雇用することで開発を進める予定であったことに対して,当該する研究者の都合が急きょ変わってしまったため,雇えなかったことが大きな原因となっている.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初予定していたポスドク研究者に変わる研究者の候補を複数人だしており,その内の何人かを雇用することで,研究開発を促進する予定である.その結果,人件費・謝金を当初の予定通り使用することになると考えている.
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Research Products
(10 results)