2016 Fiscal Year Annual Research Report
プログラム言語に非依存なプログラミング教育環境の構築と評価
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26280129
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
筧 捷彦 早稲田大学, 理工学術院, 名誉教授 (20062672)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松澤 芳昭 青山学院大学, 社会情報学部, 助教 (40517017)
坂本 一憲 国立情報学研究所, 大学共同利用機関等の部局等, 助教 (60609139)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | プログラミング教育 / プログラミング言語変換 / ソースコードメトリクス / ビジュアライゼーション |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は研究成果の教育現場への導入を通した、言語選択による教育効果の評価を実施することを目的としていた。得られた実績として、いくつかの評価実験を通して、言語翻訳システムを活用した言語変換の機能を活用することで、プログラミング学習の教育効果を高められることを発見した。具体的には以下の3点について評価実験を行い、論文発表を行った。 1) 大学におけるプログラミング講義において、汎用的なプログラミング言語であるJavaと初学者向けプログラミング言語であるブロック言語を相互変換できるプログラミング環境を提供することで、学生はブロック言語からJava言語へ自然と移行していくこと、さらに、ブロック言語がコンパイルエラーを修正する時間を削減する効果があることが分かった。 2) 大学生を対象とした評価実験において、未習得のプログラミング言語であるSwiftを学ぶ際に、Swift言語と取得済みのプログラミング言語であるJava言語を対比しながら説明する場合と、Swift言語のみを説明する場合で比較して、Java言語と対比しながら学習するほうが、得られた知識を確認するテストの点数が高まり、学習効果が向上することが分かった。 3) 言語変換技術の応用として、ソースコードメトリクスを測定したり、プログラムの実行譲許を可視化したりすることで、プログラミング学習の教育効果を高められることが分かった。 さらに、本活動を通して得られた知見および成果が、パーソナリティと学習効果の関係性に関する研究や、大学情報入試の必要性について調査を行なう研究、プログラミング教育の社会的意義について調査を行なう研究など、様々な研究活動へと繋がり、多数の論文投稿および研究発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度は開発した言語変換プラットフォームを活用した応用研究が進み、言語変換を利用することで、コンパイルエラーの修正時間の削減や確認テストの成績の向上など、様々な教育効果を生み出せることが分かってきた。また、これらの教育効果について分析を行なうことで、多数の論文投稿・研究発表を行っており、10本以上の論文発表へと繋がった。さらに、昨年度に続き、国際的なトップカンファレンス(Core Rank A)に論文が1本採択された。 なお、研究代表者を取り巻く研究環境の変化から、当初の研究計画を変更して平成29年度も研究活動を続けることとなったが、上述の通り十分な研究成果が得られている。したがって、研究はおおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は平成28年度と同様に、研究成果の教育現場への導入を通した、言語選択による教育効果の評価を予定している。平成28年度で言語変換を利用することで教育効果が向上することを評価できているため、平成29年度は教育現場への導入に焦点をあてて、研究成果の普及活動に注力する予定である。
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Causes of Carryover |
研究代表者は早稲田大学の教授を退職して名誉教授となった。そのため、研究代表者が指導する学生がいなくなり、研究活動に従事できる者が減ってしまった。 以上の職場環境の変化は当初予期していた変化よりも大きく、最終年度に予定していた実際の教育機関における実証実験を十分に実施することができなかった。 そこで、研究期間を1年間延長することで、上記の実証実験を実施したく、補助事業期間の延長を希望する。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実証実験を実施するにあたり、大学や専門学校などの教育機関へ訪問する際の旅費、および、教育機関の導入に際してソフトウェアの品質を向上したり、現場のニーズに適う形でソフトウェアを改良したりするための開発費として使用する予定である。 また、各機関へ個別に訪問を行なうだけでなく、プログラミング教育等に関連する展示会に出展するなどして、研究成果の認知拡大にも努める。その際の準備費用として使用する予定である。
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Research Products
(15 results)