2015 Fiscal Year Annual Research Report
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26281002
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
西岡 純 北海道大学, 低温科学研究所, 准教授 (90371533)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三寺 史夫 北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (20360943)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 鉄 / HNLC海域 / 北太平洋亜寒帯域 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、2014年度にロシア極東海洋気象学研究所との共同研究として実施した、北太平洋亜寒帯域およびカムチャツカ半島沖合域の研究観測航海のサンプル分析を進めた。また、カムチャツカ半島沖合の海域では、これまで情報の欠落していた植物プランクトンの制限要因を探るために鉄添加培養実験を実施した。また、供給される鉄の化学形態の情報を集めるためにコロイド態の鉄濃度の測定を実施した。さらに、この研究航海で得られた溶存鉄および栄養塩のサンプルの分析を進めた。 2015年9月1日から5日にかけてカナダ海洋科学研究所を訪問し、これまで共同で蓄積してきた東部北太平洋亜寒帯域アラスカ湾の鉄のアーカイブ化を進め、北太平洋亜寒帯域全体を把握する溶存鉄データを集めた。 上記で得られたデータセットを用いて、北太平洋の鉄と栄養塩の循環過程を定量的に表しHNLC 海域の形成メカニズムを理解するための解析に着手した。具体的には、観測で得られた東カムチャツカ海流上流の「鉄:硝酸塩比」を用いて,この水塊が,高い「鉄:硝酸塩比」を持つオホーツク海の水塊とどのように混合して,西部北太平洋亜寒帯域の水塊の化学的性質を作り出しているのか、についてデータの解析と数値シミュレーションを用いた解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通り、2014年に本研究の目指す北太平洋亜寒帯域の理解のカギとなるカムチャツカ半島東部海域での観測が実施でき、そのサンプルの分析や解析が順調に進んでいる。また2015年には、カナダ海洋科学研究所との北太平洋亜寒帯域の鉄データのアーカイブ化にも予定通り着手することができ、データの取りまとめを実施している。これまでの解析の結果からも、北太平洋亜寒帯域がHNLC海域になる理由を明らかにするための鉄:硝酸塩比の分布が明らかになりつつあり、最終年度で解析とモデルシミュレーションを進めることで、目標を達成できると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに集めてきたサンプルの分析を進め、また蓄積してきたデータをもとに、オホーツク海、親潮域、西部北太平洋亜寒帯域、東部北太平洋アラスカ湾にかけて見られる表層直下の水塊の「溶存鉄:硝酸塩比」を解析し、西部北太平洋が鉄制限になるが生物生産を生むことが出来るほど良い程度の鉄供給(moderate Fe supply)がどのように決定されているのかを明らかにしていく。特に本研究の仮説として提示した、縁辺海の海峡部での混合の役割などに着目して解析を行う。また、対象海域を含んだ数値シミュレーションを実施し、北太平洋亜寒帯域で栄養塩が残存するHNLC海域の形成過程を明らかにする。
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Causes of Carryover |
予定していたサンプルの分析の一部が終了できず、それに関わる消耗品・人件費などを基金として次年度に使用することとした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に繰り越したサンプルの分析に関わる消耗品・人件費として使用する。
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Research Products
(16 results)