2014 Fiscal Year Annual Research Report
海に面した富栄養湖流域における元素分布と微生物代謝に基づく元素循環のカップリング
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26281011
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| Research Institution | Akita Prefectural University |
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Principal Investigator |
早川 敦 秋田県立大学, 生物資源科学部, 准教授 (10450280)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅野 亮樹 秋田県立大学, 生物資源科学部, 研究員 (20646137)
村野 宏達 名城大学, 農学部, 准教授 (00570798)
石川 祐一 秋田県立大学, 生物資源科学部, 准教授 (60315603)
日高 伸 秋田県立大学, 生物資源科学部, 教授 (60457760)
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| Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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| Keywords | 地下水リン / 微生物生態 / 硫黄脱窒 / 形態別硫黄 / 硫黄安定同位体 / 海成堆積岩 / 細菌群集構造 / カップリング |
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| Outline of Annual Research Achievements |
・秋田県八郎潟干拓地南西部の原野内には高濃度リン溶出地点があり、そこに埋設された地下水観測孔からは、PO4-Pで数10 mg/Lという極めて高濃度のリンが検出されている。H26年度より高濃度リン溶出地点の深度の異なる7点の地下水観測孔において、高濃度リンの要因解明に関する現地調査を開始した。また、30 mボーリング試料における元素の鉛直分布を同時に評価した。
・ボーリング試料中のT-P含量はシルト・粘土層で多く、砂質層では少ない一方、PO4-P含量は深度2~21 mの砂質層にピークがあることを確認し、シルト・粘土層がリンのソースとなり、PO4-Pは砂質層を移動していることが推察された。
・地下水の採水は通年で月一回実施した。その結果、地下水中のPO4-P濃度は5.7~18.2 mg/Lであり、深度6.6 mで最大値(18.2±0.7 mg/L）を観測し、ボーリング試料中のPO4-P含量の高い砂質層と比較的よく符合した。地下水中のPO4-P濃度とF-濃度に強い正の相関が認められた。
・かつては汽水湖の湖底であった現在の八郎潟干拓地には多量の硫化物が存在し、それを反映した特徴的な物質循環が成立している可能性がある。本研究では、還元型の硫黄を電子供与体とする硫黄脱窒に着目し、H26年度はボーリング試料中の硫黄の化学形態の分析手法の検討と硫黄の安定同位体比を測定した。既往の異なる2つの手法で形態別硫黄の回収率の比較を行った結果、手法間で回収率が大きく異なることがわかった。回収した形態別硫黄の安定同位体比の測定に着手することもできた。
・八郎湖の底質を、八郎湖を網羅する形で空間的に多点数（計47地点）採取した。採取した試料は、元素分析、脱窒能の測定、細菌群集構造の解析に供した。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
・リン溶出地点の通年サンプリングを実施することができ、リン濃度の高い深度とそこに特徴的な他の水質動態も把握することができた。
・堆積物試料の形態別硫黄の分析と硫黄安定同位体比の分析に着手し、概ね計画どおりに進行している。
・八郎湖底質の多点サンプリング（47点）を実施し、八郎湖を空間的に網羅する形で底質試料を採取することができ、次年度以降の重点的に調査すべき地点（ホットスポット）の選定に役立てることができた。
・八郎湖底質の細菌群集構造の解析も一部実施することができた。
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| Strategy for Future Research Activity |
・高濃度リン溶出地点における地下水採水は、引き続き通年で実施する。堆積物のリン溶出試験を実施し、リンが溶出しやすい条件、溶出に関与する細菌について検討する。
・H26年度の調査で明らかとなった高い脱窒能を有する八郎湖底質について、底質中の形態別硫黄、硫黄安定同位体比の分析、および細菌群集構造解析を行い、脱窒能と硫黄の化学形態および細菌群集構造との関連性を評価する。
・研究成果を学会（国内、国際）発表し、学術誌への投稿準備を開始する。
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| Causes of Carryover |
主に細菌群集構造の遺伝子解析にかかる消耗品費が次年度に繰り越したこと、人件費が予定額に満たなかったことによる。
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| Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰り越し分は、上記の当該消耗品費と人件費に充てる。
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