2015 Fiscal Year Annual Research Report
RINGフィンガードメインを持つ新規ファンコニ貧血原因遺伝子産物の機能解析
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26281021
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
石合 正道 京都大学, 放射線生物研究センター, 准教授 (90298844)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 環境 / DNA修復 / ユビキチン / ファンコニ貧血 / 放射線 |
Outline of Annual Research Achievements |
ドイツWuerzburg大学の遺伝学研究者との共同研究により、ファンコニ貧血(FA)の新規原因遺伝子を見いだした。本研究課題では、仮にFANCXとする。ドメイン構造から予測されるFANCXの機能は、既存のFA経路の概念では説明できず、本研究課題によるFANCXの解析によりFA経路の新規機能を明らかにすることが期待できる。 我々は、樹立したトリDT40由来のFANCXノックアウト細胞を用いた平成26年度の解析から、FANCXがDNAクロスリンク(ICL)修復、中でも相同組換え(HR)に必要であることを示すデータを得ている。 平成27年度は、作製されたヒトHAP1細胞を用い、同様の検討を行った。ヒトFANCXノックアウトHAP1細胞は、トリDT40細胞と同様、ICL薬剤であるシスプラチン、マイトマイシンCに高感受性を示し、染色体断裂頻度が著しく減少することを見いだした。これらの結果はHR活性の低下を示唆することから、DT40細胞を用いて、さらに相同組換え頻度やI-SceIアッセイなどのHR活性の測定を行った。I-SceIアッセイはゲノム上に基質DNA配列を導入し、I-SceI制限酵素の発現により人為的なDNA二重鎖切断を導入し、その修復を測定する。FANCXノックアウト細胞ではI-SceIアッセイでのHR活性の低下が観察された。さらに詳細に、I-SceIアッセイで生じた組換え産物の解析を行うと、野生型とFANCX欠損細胞では、予想に反して、有意な差が見られなかった。つまり、FANCXの機能欠損は、HRの頻度低下をもたらすが、反応が開始されたHR反応そのものには影響せず、FANCXはHRの初期の反応効率を制御することが示唆された。 FANCXがHR活性制御に寄与する分子メカニズムを探るため、平成26年度には、ほ乳類ツーハイブリッド(m2h)法によるFANCXとHR関連分子群との相互作用を検討し、FANCXとRPA複合体との相互作用を見いだした。平成27年度には、ヒト細胞中でのFANCXとRPA複合体の相互作用を検討し、両者の会合を検出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
トリおよびヒトのFANCX変異細胞などを用いた詳細な表現解析は、順調に進行しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
1.FANCX変異細胞の表現型解析。 平成27年度に引き続き行う。主にニワトリDT40由来のFANCXノックアウト細胞、ならびにヒトHAP1由来のFANCXノックアウト細胞を用い、姉妹染色分体交換(SCE)頻度の測定など、HR経路に関する詳細な検討を行う。FANCXの機能ドメインの変異体やヒトFA患者変異に相当するトリFANCX変異体を使用し、FANCXの機能と構造の関連を明らかにする。
2.HR経路におけるFANCXによるRPA複合体の機能発現メカニズムの検討。 平成27年度までの検討で、FANCXとRPA複合体の相互作用を見いだした。このため、平成28年度では、RPA1, RPA2やFANCXの変異体を用い、RPA1, RPA2とのFANCXの結合領域を明らかにする。また、RPA1, RPA2, FANCXはリン酸化、ユビキチン化されることが知られており、これらの分子修飾と機能との関連を明らかにする。
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Causes of Carryover |
研究は順調に推移している。FANCXの分子作用メカニズムについて、想定よりも標的候補分子のメドが早くたったため、研究対象を絞り込みことができ、研究費に余裕が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
主に消耗品に使用する。
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Research Products
(5 results)
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[Presentation] The Roles of FANCD2, a central player of the Fanconi anemia pathway, in DNA repair2015
Author(s)
Ishiai, M., Sato, K., Kurumizaka, H., and Takata, M.
Organizer
15th International Congress of Radiation Research (ICRR2015)
Place of Presentation
Kyoto, JAPAN
Year and Date
2015-05-25 – 2015-05-29
Int'l Joint Research
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