2016 Fiscal Year Annual Research Report
DNA修復蛋白質53BP1の細胞表層への露出とアポトーシス細胞の腫瘍免疫原性獲得
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26281025
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
岩淵 邦芳 金沢医科大学, 医学部, 教授 (10232696)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
逆井 良 金沢医科大学, 医学部, 助教 (10549950)
砂谷 優実 金沢医科大学, 医学部, 助教 (70581057)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | アポトーシス / 細胞生物学 |
Outline of Annual Research Achievements |
DNA損傷修復蛋白質である53BP1は、Tudor domainを介してDNA二重鎖切断部位に出現するメチル化ヒストンH4(以下H4K20me2)と結合し、DNA二重鎖切断部位に集積する。我々は、ヒトT細胞系白血病細胞株Jurkatにスタウロスポリンでアポトーシスを誘導すると、①53BP1がカスパーゼ依存性に60 kDaのC末断片になること、②この53BP1C末断片が、クロマチンと共に細胞表層へ露出すること、③クロマチンの細胞表層露出が、部分的ではあるが53BP1依存性であることを見出した。 今年度、53BP1ノックアウトマウスを購入し、マウスから採取した脾臓リンパ球を用いて、アポトーシスによる53BP1、クロマチンの細胞表面露出を調べた。マウス細胞においても、スタウロスポリン処理により細胞がアポトーシスに陥ると、53BP1が分解されC末を含む断片となること、クロマチンが細胞表層に露出することを確認した。このアポトーシス細胞におけるクロマチンの細胞表層露出を、野生型リンパ球と53BP1欠損リンパ球で比較したところ、クロマチンの細胞表層露出は53BP1欠損リンパ球で減少するものの、完全には消失しなかった。以上より、アポトーシス細胞におけるクロマチンの細胞表層露出には複数のメカニズムが存在し、その中に53BP1が関与するメカニズムが存在することが示唆された。 細胞表層へ露出したクロマチンは、貪食細胞に対するeat-meシグナルとなることが報告されている。そこで、野生型マウスから採取した貪食細胞を用いて、アポトーシスに陥ったリンパ球がどの程度貪食されるかを調べた。その結果、野生型リンパ球に比べて53BP1欠損リンパ球の貪食が減少した。以上より53BP1は、クロマチンの細胞露出を介して、アポトーシス細胞の貪食を制御していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
53BP1ノックアウトマウスの繁殖に、思いのほか時間がかかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
53BP1ノックアウトマウスを用いたin vivoの貪食実験を行う。即ち、野性型あるいは53BP1欠損型のリンパ球を用いてアポトーシス細胞を準備し、これを野性型、あるいは53BP1ノックアウトマウスに静脈注射し、脾臓でのアポトーシス細胞の残存程度を調べる。
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Causes of Carryover |
53BP1ノックアウトマウスの繁殖に時間がかかったこと、動物実験を担当する研究分担者・砂谷に入院期間があったことで、研究期間を1年延長しなければならなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
53BP1ノックアウトマウスを用いたin vivo貪食実験のための物品費として使用する。
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Research Products
(6 results)