2015 Fiscal Year Annual Research Report
非ヒストンタンパク質のアセチル化修飾を介したゲノム障害応答の制御機構解明
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26281026
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Research Institution | National Institute of Radiological Sciences |
Principal Investigator |
安田 武嗣 国立研究開発法人放射線医学総合研究所, 緊急被ばく医療研究センター, 主任研究員 (60332269)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荻 朋男 名古屋大学, 環境医学研究所, 教授 (80508317)
増本 博司 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 講師 (80423151)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | アセチル化 / DNA修復 / アポトーシス / 放射線 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトRAD52タンパク質は、DNA二重鎖切断(DSB)修復において、RAD51依存的なDNA相同組換え経路とRAD51非依存的な1本鎖アニーリング経路の両方に関わる。RAD52 をDSB部位で脱アセチル化したSIRT2とSIRT3は、DNA相同組換えに関わっていたが、1本鎖アニーリング経路には関わっていなかった。RAD52とSIRT2あるいはSIRT3をダブルでノックダウンしても、シングルノックダウンの場合に較べて相同組換え頻度に大きな影響が無かったことから、これらのタンパク質はDNA相同組換えの同じ経路で働いていると考えられた。 精製タンパク質を用いた実験で、RAD52とCBPとの相互作用を示していたが、RAD52とp300の相互作用についても示すことができた。また、Mycタグを付加したRAD52とHAタグを付加したp300あるいはCBPとの放射線照射後の細胞内共局在を示した。さらに、タンパク質のin vivoクロスリンクと免疫沈降の手法を組み合わせて、RAD52と細胞内でもp300やCBPと特異的に相互作用することを示した。そして、細胞内のp300とCBPを同時にノックダウンすると、DSB後に誘導される細胞内のRAD52のアセチル化が阻害されることが観察された。 アセチル化部位が同定できていない2つのタンパク質について、試験管内の反応によってアセチル化される部位を質量分析によって同定するために、大腸菌の発現系を用いて十分な量のタンパク質を精製した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、主にRAD52のアセチル化に関する投稿論文のリバイスのための実験を行なった。リバイスには、さらに膨大なデータを出す必要があった。指摘されたことに答えるために、予定していなかった様々な実験を行ったことで、研究成果の完成度が高まった。一方、このために、本年度に予定していた実験計画については、十分に達成することができなかった。共同研究の過程で、当初は予定していなかった新たなタンパク質のアセチル化修飾を発見し、それに関する論文を報告することができた。したがって、研究全体としては、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
アセチル化部位が同定できていない2つのタンパク質について、質量分析によってアセチル化部位を同定する。これらのタンパク質はアポトーシスに関連しているため、アセチル化部位変異やアセチル化修飾がアポトーシスに与える影響を調べる。 すでに研究が進んでいるアポトーシス関連タンパク質の1つについては、このタンパク質とTAB1との相互作用に与えるアセチル化部位変異の影響を、マイクロカロリーメーターを用いて正確に測定解析する。また、アセチル化修飾部位変異体細胞に発現させて、NFκBの活性化やオートファジーに誘導に対するアセチル化修飾の影響を調べる。さらに、細胞内のアセチル化状態の制御機構や、アセチル化修飾がDNA損傷による細胞内のアポトーシス誘導に与える影響を調べる。 DNA複製等に関わるタンパク質のアセチル化については、アセチル化修飾部位のリジンをアセチル化されないアルギニンやアセチル化類似変異のグルタミンに置換したタンパク質を細胞に発現させて、細胞増殖等に与える影響を調べる。
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Causes of Carryover |
オープンアクセスの学術雑誌に論文を投稿したが、リバイスに膨大な実験を要求されたために、まだリバイスの最中であり、今年度は掲載には至っていない。そのため、論文の出版料に必要な研究費を今年度は使用しなかったため次年度に繰り越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額は、リバイスのための英文校閲費とオープンアクセスの掲載料に使用する。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Mammalian Bcnt/Cfdp1, a potential epigenetic factor characterized by an acidic stretch in the disordered N-terminal and Ser250 phosphorylation in the conserved C-terminal regions2015
Author(s)
Iwashita S, Suzuki T, Yasuda T, Nakashima K, Sakamoto T, Kohno T, Takahashi I, Kobayashi T, Ohno-Iwashita Y, Imajoh-Ohmi S, Song SY, Dohmae N
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Journal Title
Bioscience reports
Volume: 35
Pages: 1-12
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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