2014 Fiscal Year Annual Research Report
異物代謝酵素に着眼した化学物質の暴露経路依存的なリスク評価法の構築
Project/Area Number |
26281028
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Research Institution | Yokohama College of Pharmacy |
Principal Investigator |
埴岡 伸光 横浜薬科大学, 薬学部, 教授 (70228518)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神野 透人 名城大学, 薬学部, 教授 (10179096)
須野 学 岡山大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (20621189)
重山 昌人 横浜薬科大学, 薬学部, 教授 (90598327)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 化学物質 / 曝露経路依存的 / リスク評価法 / 異物代謝酵素 / シトクロムP450 / 遺伝子発現量 / 個人差 / Real-time PCR |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、化学物質の暴露経路(標的臓器・組織:肝臓、小腸、肺及び皮膚)を考慮した包括的in vitroリスク評価法の開発を目指す。 本年度は、ヒト肝臓における異物代謝酵素関連遺伝子発現量の個人差に関する研究を遂行した。10名の正常ヒト(男性)肝臓由来Total RNAをMultiScribe Reverse Transcriptase (Applied Biosystems) を用いてTotal RNAからcDNAを合成した。異物代謝酵素関連遺伝子としてシトクロムP450(CYP)13分子種(CYP1A1, CYP1A2, CYP1B1, CYP2B6, CYP2C8, CYP2C9, CYP2C18, CYP2D6, CYP2E1, CYP3A4, CYP3A5, CYP3A7, CYP3A43)について、その発現量をReal-time PCRにより定量した。まず、初期鋳型量の補正に適したControl遺伝子を選択する目的で、GAPDH及びβ-actin mRNA、18S rRNAを定量した。その結果、本実験で用いた試料に関しては、試料間における定量値の変動が比較的少なく、かつmRNAの品質の差異を補正し得るControl遺伝子としてβ-actinが適切であることが確認されことから、β-actin mRNAの定量値を用いて初期鋳型量の補正を行った。本研究で解析の対象とした13遺伝子については、その発現レベルに3.7倍から136倍の個人差が認められた。これまでに遺伝子発現量に比較的大きな個人差が存在することが報告されているCYP1A1、CYP3A4、CYP3A5、CYP3A7についてはそれぞれ31倍、12倍、48倍、136倍の差が認められたほか、CYP1A2, CYP3A43については8倍、CYP2C8では6倍の差が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、「リコンビナント異物代謝酵素の発現」及び「異物代謝酵素遺伝子の発現解析」の課題を企画していた。「異物代謝酵素遺伝子の発現解析」は、上述したように概ね順調進展している。しかし、「リコンビナント異物代謝酵素の発現」は、平成26年9月、作製した人リコンビナント異物代謝酵素の活性を測定したところ、予想外に細胞培養条件の設定が複雑であり、高い活性を有する酵素を得ることが困難であると判明した。現在この問題を解決すべく、発現用の細胞の種類探索及び培養時間や添加補因子等の詳細な検討を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
【今後の研究計画】 1)リコンビナント異物代謝酵素の発現:平成26年度に引き続き、異物代謝酵素(カルボシキルエステラーゼ、シトクロムP450、UDP-グルクロン酸転移酵素)を作製する。また、化学物質の包括的代謝のプロファイル(個人差)を解析するために、種々のリコンビナント異物代謝酵素のカクテルを作製する。 2)ヒトiPS細胞の腸管様細胞への分化誘導:分化誘導(予備検討も含む)は、既報(Spence et al. Nature 2011;470:105–109)に準じて行う。分化誘導の成否は、細胞の形態及び腸管のマーカー遺伝子の発現により判断する。 3)フタル酸ジエステル類の代謝に関与する加水分解酵素の種差:フタル酸ジエステル類(BBP及びDEHP)のヒト及び実験動物の肝ミクロゾームによる加水分解反応の種差を検討する。 【次年度の研究費の使用計画】 リコンビナント酵素の発現の成否を確認するために、ウエスタンブロッティンブを行い画像解析する必要であり、そのための装置を備品として計上する予定である。リコンビナント酵素の発現及びヒトiPS細胞の分化誘導には細胞培養用の作試薬やディスポーザブルの器具を十分量必要し、画像解析装置以外の物品費は消耗品に充てる。研究成果は学会や国際誌に発表する予定であり、旅費(学会参加のための旅費)やその他(英文校正料)にもそれぞれ15~25万円を充てる予定である。
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[Journal Article] Butylbenzyl phthalate hydrolysis in liver microsomes of humans, monkeys, dogs, rats and mice.2014
Author(s)
Takahara Y, Kinashi Y, Takahara Y, Hichiya H, Okada K, Murata M, Shigeyama M, Hanioka N
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Journal Title
Biol Pharm Bull
Volume: 37
Pages: 703-706
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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