2015 Fiscal Year Annual Research Report
胎仔期の越境微小粒子曝露と出生仔の雄性生殖機能低下と気管支喘息増悪への次世代影響
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26281033
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Research Institution | Oita University of Nursing and Health Sciences |
Principal Investigator |
吉田 成一 大分県立看護科学大学, 看護学部, 准教授 (40360060)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
嵐谷 奎一 産業医科大学, その他部局等, 名誉教授 (10141748)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | PM2.5 / 次世代影響 / 免疫系 / 雄性生殖系 / 環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
発生源の異なる微小粒子状物質 (PM2.5)の影響を評価するために中国瀋陽市で採取したPM2.5 (cPM2.5)と中国大陸からの大気汚染物質の飛来がない日に北九州市で採取したPM2.5 (jPM2.5)を妊娠マウスに気管内投与した。出生した雄性マウスが5、10、15週齢になった時点で、免疫系、生殖器系への影響を検討した。一部のマウスについて、気管支ぜん息モデルマウスとするため、OVA処理を行い免疫系への影響を検討した。 胎仔期cPM2.5曝露により、出生仔の造精機能の低下が全ての週齢のマウスにおいて認められた。この影響は、セルトリ細胞の機能に関与するFSHレセプターmRNA発現量と相関が認められた。DNAマイクロアレイを用い、胎仔期cPM2.5曝露による精巣におけるmRNA発現変動を解析し、生殖機能への影響解析を現在行っている。また、胎仔期にcPM2.5を処理した全ての週齢の出生仔マウスにおいて、肺胞洗浄液中の炎症細胞数が有意に増加した。さらにcPM2.5処理、出生後にOVA処理を受けた15週齢の出生仔マウスと胎仔期にcPM2.5曝露がなく、出生後にOVA処理を受けたマウスの肺胞洗浄液中の炎症細胞数を比較すると胎仔期cPM2.5曝露を受けたOVA処理マウスで有意に増加した。これらの影響は、肺の病理組織像でも同様の変化であった。一方、jPM2.5の胎仔期曝露による出生仔免疫系への影響はcPM2.5による影響変化と比較すると軽微であった。生殖系への影響解析と同様、現在、肺におけるmRNA発現変動を解析しており、免疫系への影響に関し詳細に解析している。 以上のことから、PM2.5の胎仔期曝露による出生仔雄性生殖系および免疫系に与える影響はPM2.5の成分により異なることが示唆され、今後、影響寄与因子の解明が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた複数のPM2.5による影響評価を行い、次年度計画通り、PM2.5の成分による影響評価を行うことになり、研究実施計画が順調に進んでいるため。胎仔期PM2.5曝露による影響は曝露するPM2.5により異なる知見を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
当初予定したとおりに研究を推進する (研究計画に変更は無い)。
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Causes of Carryover |
当初計画していた物品を安価に購入できたため次年度使用額が生じた。 また、謝金が発生する用件が減少したため次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究推進にあたり、解析すべき項目が増加することが想定されるため、物品費として主に使用する。
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